ベラトリックス


形あるものはいつかなくなってしまう。
なら、この想いもいつかなくなってしまうのか。何も言えずに朽ちて行くのだろうか。
この想いは、いつまで想いのままでいてくれるのでしょうか。




「おーい、ベラトリックスー」

いつもの彼の声。

「どうしたの?」

私は何事もなかったように返事をする。
いつもの会話、ただ何気ないやりとりなのに、私の中の想いは膨らんでいく。

「聞いてくれよ、アルカイドがさー」

オリオンはそう言ってニカっと笑う。私は、この笑顔が何よりも好き。
私は誰よりもオリオンが好き。初めて遭ったあの時から。好きで、好きでたまらない。
日に日にこの想いは大きく膨らんでいく。なのに、言えない。
言ってしまえば、何かが変わってしまうから。
だから、お願いです。この想いよ、いつか言える日が来るまで朽ちないで。なくならないで。



私は初めて遭ったあの時からオリオン、貴方のことが大好きです。




私がオリオンと初めてあったのは、まだ孤児院に居た時だ。
私は、自分の両親を知らない。生まれた時から。物心ついた時には、あの孤児院にいた。
でも、私は孤児院が嫌いだった。逃げ出したいと思ってた。退屈で、同じ日の繰り返し。
私は、それが嫌だったのだ。

あの日、私は読み終わった本を読み返していた。
もう、何度も読んだ本。内容も頭に入っていて、初めて読んだ時のようなドキドキはない。
ただ、退屈な文字の羅列。つまらない、くだらない毎日だ。
窓から見える空は曇っていて、今にも雨が降り出しそう。それが、余計に私の心を憂鬱にさせた。
そんな中、窓ガラスを突き破り、私の部屋に入ってくるものがあった。

「な、何!?」

私は、窓ガラスが割れた大きな音と、飛び込んできた何かに驚いた。
もの凄く急で、何も予想していなかったこと。そう、その飛び込んできた者がオリオンだったのだ。
オリオンは絨毯で突っ込んできた。



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