平成百鬼夜行〜風人伝〜


「聖ちゃんは、火人(ひびと)・土人(つちびと)・水人(みずびと)のことは知ってるみたいね?」

鈴音姉さんは、相変わらず俺にはさっぱりなことを話し始めた。

「もちろんですよ! みたいじゃなくて、知ってるんです!!」

聖は鈴音姉さんの問いに、バカにするなと言ったように答えた。
聖……ざまぁみろ。
どうやら少しプライドを傷つけられたみたいだ。
はっはっは!この知ったかぶりめ!!
ま、俺は何も知らないけどさ。

「なぁ、その土人だか水人ってのは何だよ?」

知らないことは知るべきだ。
それは、俺にも権利があると思う。
まぁ、相変わらず聖は舌うちしたけどさ。
お前に聞いてるんじゃないっての!!

「土人とかは、風人と同じような者のことよ。ただ、属性が違うだけ。初めに生まれ、最後に死ぬものの事。だけどね、風太はその4人の中で決められてたことを破ってしまったのよ」

説明してくれたのは、鈴音姉さん。
いっそのこと、鈴姉さんと呼ぼうか。

「でも、風太さんはちゃんと守り神という役割をはたしているじゃないですか」

聖が気を取り直したみたいだ。
チクショウ……。

「奴らにとっては、役割どうのよりルールを破ったことが重要なの」
「でも……!!」

相変わらず俺にはよくわかんねぇよ。

「とにかくもうすぐこの村から守り神がいなくなるかもしれないってことよ」

鈴姉さんは奇妙に笑った。



この時の俺たちは、まだよくわかっていなかった。
風太がいなくなることが、どんなに大変なことを引き起こすか……。



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これにて1部終了ですー。
次回をお楽しみにっ!