平成百鬼夜行〜風人伝〜


俺たちは銀河と別れ、家路に向かっている。
銀河と別れてから聖はずっと何かを考え込んでいる。

「どした?」

俺は聖に問うた。
いったいこいつは何考えてるんだ?

「ん、あぁ。何であんなとこに樹木子がいたのかと思って…。あんなところで人が殺されればニュースになるだろうし……あそこが戦場だったって記録はないし……。なら、どうしてだ?」

聖は、また考え込んでしまった。
その時1匹の猫が俺の足に擦り寄ってきた。茶のトラだ。

「猫だ!」

俺は猫を撫でようとしゃがんだ。
猫はにゃーと言いながら擦り寄ってきた。俺は犬も好きだけど、猫も好きだ。
と、いうか……俺は動物が大好きなんだ!

「聖、見ろよ。こいつめっさ可愛い」

俺は猫の頭を撫でた。
猫は嬉しそうにみゃーと言った。

「猫?」

聖は猫の声を聞き、考え事の世界から戻ってきた。
そして、猫の方を見、なぜかため息をついた。

「鈴音さん、何やってるんですか……」

聖は猫にそう言った。
こいつ、鈴音ってんだ。てか、何で聖は猫にさん付け何かしてんだ?
俺がそんなことを考えていると、猫は俺から離れ宙返りをした。
すると、どうだろう。
猫は1人の美しく、セクシーなお姉さんになった。
なっ!? こいつも妖怪か!!?

「なっ、な!!?」

俺はとにかく驚いた。
あ、でも綺麗なお姉さん……。

「あら、可愛い子ね。君が風太の知り合いね? ん、美味しそう」

お姉さんはそう言いながら、急に抱きしめた。
ど、どうしよう……胸が顔にあたる……。
俺はいたって健全男子だ!!

「徹平。その人はそんななりでも、九尾猫又だぞ。人間の死体や鬼を食べるから気をつけろ」

聖がそう、冷静に言った。
っておい!! そうゆうのは先に言え!!
俺はお姉さんから、そそくさと離れた。
お姉さんはそんな事は気にせず話し出した。

「こんなことより、聖は樹木子について知りたいんでしょ? 教えてあげようか?」
「何か知ってるんですか!? まさか……土人が関係しているとか……」

聖がそう言うと、お姉さんは奇妙に笑った。

「そう、そのまさかよ。風太はどうやら大変な奴らに目をつけられてしまったようだよ」

俺にはなんのことだかさっぱりだ。
次から次へと大変だ。



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