平成百鬼夜行〜風人伝〜


はっきり言うと、俺は雨が嫌いだった。雨の中、傘さして学校に行くのはめんどうだし、体育が出来なくなるし、靴もびちょびちょになるのがとにかく嫌だった。そう、都会にいるときは思っていた。でも、今まさに俺は考えが変わった。
雨はいいもんだ。それに、龍も見てやった。あとで翔子に自慢してやれ。て、ゆーか翔子もばーちゃんも立花神社に置いてきちまったぞ。まぁ、いいか。
と、俺がそんなこと思っていると久那ノ神様が、空……いや、ここは天と言おう。天から降りてきて人の姿に戻った。そんな久那ノ神様に、白月は誇らしげにひざまずいた。俺は、伝説とかで龍がすげーって言われている理由が少しわかったような気がした。

「久那ノ神様、お疲れ様でございました」

白月はひざまずいたまま、そう言った。久那ノ神様は白月の方を見、そのあと俺たちに視線を移した。
雨はしとしとと降っていた。

「明日の夜のこと、銀河や鈴音に聞きなさい。そこに、皆が集う」

俺と聖は何のことかよくわからず、顔を見合わせた。だが、それは一瞬の間だけだ。こんな奴と見つめあうなんてもってのほかだ!

「あのっ……!!?」

聖がもう一度、久那ノ神様の方を向くと、そこには久那ノ神様も白月も居なく、空を見上げると一匹の白龍が天へ昇っていった。
久那ノ神様の言ったこと、俺たちはよくわからなかった。でも、俺たちは立花神社には行かず、この風森で銀河たちを探していた。唯一気になったのが、ぽてぽてと後から小雨がついてくることだ。
銀河たちはすぐに見つかった。丘を下りたとこに、銀河、鈴姉さん、鬼童丸がいた。いつも風太にくっついていた鬼童丸は銀河にくっついていた。

「さっき、白月が来た。お前たち、久那に会ったんだな?」

銀河は俺たちにそう問うた。俺と聖は同時に頷いた。

「なら、久那は明日の夜のことを言ったんだねぇ」

そう言ったのは鈴姉さん。明日の夜、何があるんだろう?

「明日、何かあるんですか?」

俺が言うおうと思ったのに聖に先を越された。少し悔しい。

「何だい? 知らないのかい? 明日は満月だ。そう、つまり百鬼夜行だよ。あたしら妖怪がある場所に集まるのさ。ここではない世界に。そう、妖怪の世界に。来たければ来るがいい、風太のことが気になるんだろ?」

鈴姉さんがそう言い、俺たちはまた顔を見合わせ、銀河たちを見た。

「行く! 俺は行く!!」
「俺も行きます」

2人とも同じ答えだった。なぜか鬼童丸と小雨は一緒に遊んでいた。て、いうか聖は来なくていいよ。

「なら、明日の朝の2時にここに来い」

銀河はそう言い、地面に葉っぱのマークを書いた。
何かが明らかになる予感がする。
こうして、俺はどんどん妖怪の世界にはまっていくのである。



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はい。これにて、2部終了でございます。
次はついに本格的に妖怪の世界に入って行きます。