平成百鬼夜行〜風人伝〜


すぐに、また何だかわからない子供がやってきた。白月と一緒に。髪が長くて、男か女かよくわからない子供だ。服もなんだが、時代おくれだし……。

「あれが龍神様?」

俺は信じられず思わず聖に聞いた。

「俺も、龍神様は見たことがない」

聖も何だか戸惑っているようだった。だけど

「おい! この方をどなたと心得る!! 恐れ多くも、白龍の久那ノ神様だぞ!」

と、白月がいばって言った。お前が威張ることはないだろうと思ったが、別に声には出さなかった。

「久那ノ神様! お願いです!! どうか、雨を降らしてください!! 龍神の中でも白龍は水神とお聞きしました。もう、貴方にしか雨を降らせられないのです!」

聖が、久那ノ神とかいう子供に跪きそう言った。俺はそんな聖をただ見てたが、そんな聖に睨まれた。

「こら! お前もお頼みしろ!!」

そして、頭をおもいっきり押さえつけられ土下座のような形になった。
俺は急なことでびっくりして声もでなかったが、ムカついたから聖の脇腹を思いっきり殴ってやった。
聖はかなり痛がった。ざまーみろ。
久那ノ神はそんなことを気にすることもなく、口をひらいた。

「……雨……」

久那ノ神は空を仰いだ。そして、なんとこの高い丘から飛び降りたのだ!!

「おいっ!!?」

俺はまたびっくりして駆け寄ろうとしたけど、聖に見てろと足をひっかけられ、思わず転倒した。ちょっと痛かった。
聖に文句を言おうとしたが、聖は真剣に空を見ていた。
しょうがないから俺も空を見てみると、そこには神々しい白い龍……白龍っていうのか? それが飛んでいた。その白龍のまわりにはいつのまにか雨雲が広がっていた。雨雲はどんどん増えていった。
そして、その雨雲の中を白龍が通ると雷が鳴り雨がポツポツと降ってきた。
久しぶりにこの風森に雨が降った。緑も、キラキラと輝き始めた。



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