平成百鬼夜行〜風人伝〜


気付いたら、俺たちは森まで飛ばされてきていた。
この感じ、懐かしいなぁ。風太に会ったのがずいぶん前のことのようだ。
でも、そんなに日はたってないんだよな。

「おーい、皆いるなー」

しばらくして、風太も風に乗り、森に帰ってきた。
何だか、森が凄く生き生きしているように見えた。
森の足りない部分が埋まった感じ。風太は、もうこの森の一部なんだ。

「やばっ、結構、森あれてるなー。もう、いなくなったりしねーよ」

風太は、森にそう言った。
そして、その風太の言葉を聞き、誰もが安心し
森も村も、風太がいなきゃ、きっとダメなんだ。
それから、俺と聖は家に帰った。
夜中に出てきたから、もう朝とかそんな感じで、家に帰ったら母さんと親父に怒られた。
翔子には、ズルイって言われた。
けど、俺は眠かったからすぐに部屋に行って寝てしまった。


それから、風太は言葉通り、ずっと森にいた。
俺も、翔子と一緒に森に何度も遊びに行った。
何か、凄く楽しいんだ。とくに、何かしてるわけじゃないのに。都会にいるときよりもずっと、楽しいんだ。
俺、ここにきて、良かったよ。本当にそう思う。

「おーい、風太ー」
「風太くーん」

俺は翔子と一緒に、毎日のように遊びに行った。
て、楽しいし。

「おー、2人とも来たかー。さっき、聖が来たところだー」

風太はそう言って、聖と銀河と何かしゃべっていた。
てか、聖のくせに俺より早く来るなんて生意気な。かなり、腹が立つな。

「あ、聖くーん」

翔子は、聖の姿を見つけると、その輪の中に入り、すぐに溶け込んだ。

「ねー、風太くん。私も百鬼夜行に参加してみたーい」

翔子は、いつものわがままを言いだした。
何が、参加してみたーいだ。全然、可愛くねぇ。風太はうーんと唸った。

「連れてってやりたいけど、人間ってわかるとやっかいだからなぁー」

風太は、いつもそうやって笑う。そして、皆で笑うんだ。
人生って悪いことばかりじゃない。楽しいことだってたくさんあるんだ。
リストラされた親父だって、田舎に来て、農業を幸せそうにやってる。おかげで、髪の毛も抜けなくなったそうだ。
だから、俺はこの人生を楽しもうと思う。だって、すげー、楽しいじゃん。
さて、次はどんな楽しいことがあるのかな?




END




 BACK|モドル

これにて、風人伝は終了です。
最後まで、わけわからなくて……。よくわかんない感じで……。
だけど、ノリだけは失わなかったです!

2010.5.27