平成百鬼夜行〜風人伝〜


「これで、土人もしばらくはわがまま言わないだろう。さて、俺たちも帰るか。森も心配だし」

風太はそう言って、大きく伸びをした。そして、氷鴈の方を見た。

「じゃ、俺帰るわ。ありがとなー、氷鴈」
「いやいや、気にする必要ないよ」

風太っていろんな友達がいるんだな。
俺なんかより顔が広い。

「よーし、皆、外に出て一列に並べー」

風太は手をポキポキならしながら、俺たちにそう言った。
俺たちは氷鴈にあいさつをして外に出た。
とりあえず、俺たちは一列に並んだ。

「何をやるんですか?」

聖が、風太にそう問うた。
俺は、何をやるのか解った気がした。
きっと、あれをやるんだ。風太はニッコリと笑った。

「俺の風で飛ばすのさ」

やっぱり。あの時と同じだ。
初めて風太と会った時。あの時も、飛ばしてもらったっけ。
風太は、俺たちに向けて両手をかざした。

「さぁー、木とかには注意しろよ! ふっとべ!!」

そして、びゅんと強い風が吹き、あのときのように俺たちは、風に飛ばされた。



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