平成百鬼夜行〜風人伝〜
「誰?」
銀河が風太に問うた。鈴姉さんも、聖も俺もその生意気そな子供を見た。
風太の天職って、保父さんなんじゃね?
「風太、ズルいぞ! 自分ばっかりズルイ!! 俺も名前ほしー!!!」
生意気そうな子供は、風太にそう言い放った。
ぶっちゃけ、ぶっちゃけなくてもうるさい。
そのうるささに、家主の2人が少し困っているようにも見えた。
と、いうかうるさそうにしてる。
「あー、もう、うるさいなぁ。自分で好きな名前つければいいじゃん」
風太は適当にそう言った。そして、銀河の方を向いた。
「こいつが、噂の土人だよ」
「え!? これが!!?」
銀河は驚いた声を出した。
いや、鈴姉さんも聖も目をまん丸くして驚いている。
だって、まさか噂の土人が子供だとは思わなかったんだもの。
俺なんて、ヤクザっぽい人を想像してたのに。
「1回、こいつに捕まるとやっかいなんだよ。俺も早く帰っとけばよかったかもー」
風太はまたため息をついた。
「俺が呼ばれたのも、人間と遊んでばっかりでズルイってことだったし」
風太は、そう付け足した。
何か、肩すかしくっちゃったな。何も、風太、たいへんなことになってないじゃん。
「風太、相手しろー」
土人は相変わらず、騒いでいる。
本当にうるさいなぁ。風太が言ってた意味がよくわかるよ。
風太はそんな土人を見た。
「お前、自分の土地はどーしたんだよ? 水人も火人も帰ったぞ。それに、俺たちの相手ばっかしてると、土地の奴に嫌われるぞ?」
それは、本当なのか冗談なのかよくわからないけど、風太は真剣だった。
土人は少し悲しそうな顔をした。
「それは、ヤダー。でも、名前がほしいよー。水人も火人も名前貰ったっていってたー」
土人はダダをこねた。典型的な子供だな。
こんな弟が居たら、ぶんなくってたな。妹で良かったなぁ。翔子も生意気な奴だけど。
「2人は、土地で仲良くなった人間に名前を貰ったんだよ。だから、お前もそうしろ」
「うー、解ったよー」
土人は納得いかないって感じだったけど、嵐のように去って行った。
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