平成百鬼夜行〜風人伝〜


「誰にも言わないで来ちゃったからなー。こんなに開けるつもりはなかったんだよ」

なんか、風太がいなくなって森は大変なことになったけど、風太は大変じゃなさそうだな。
と、いうか、風太がこっちにきたのはそれほど重要じゃないのか?

「風太、俺はそろそろ帰るぞ。土地も心配だしな。土人には、もう少し大人になってもらわないとな」

火人はそう言い残し、氷鴈さんの家を後にした。土人には大人にって意味わからん。

「もしかして、土人だけが風太さんのことを怒ってるんですか?」

聖だ。今までの話を聞いていた聖がそう言った。
確かに、火人も水人も別に風太のことは何も言ってない。
なんとも思ってないのかも。
あと、この顔の前にあるの、まだとっちゃダメなのかな。邪魔なんだけど。

「いや、土人も怒ってないよ。ただ、我儘いってるだけ。ズルイって。俺ばっかりズルイって。今回呼ばれたのもそんな感じ。だから、しばらく相手してやってたんだ」

風太はため息をついた。しかも、かなり深いため息だ。
風太のため息が終わると、ドアが開く音がして、皆がそっちの方を見た。そこには、男の子が立っていた。

「今日は、お客さんが多いなぁー」

氷鴈さんにひっついてる巫女服の女の子が言った。
うーん、氷鴈さんは、彼女持ちなのか? かなり、羨ましいぞ。
子供はキョロキョロと俺たちのことを見てた。
そして、風太を見つけると、おじゃましますも言わずに、ズカズカの家の中に入り、風太の目の前に来た。
風太は、またため息をついた。
風太の知り合いか? なんか、こいつの知り合いに子供おおくない? 子供に好かれるたちなのか?

「風太、見つけた!!」

子供は、生意気そうな声で、そう言った。



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