平成百鬼夜行〜風人伝〜
「火人はどーしてここにいるんだよ?」
銀河が火人のことを睨んだ。銀河って結構、感情を表すタイプだよな。
火人は、そんな銀河の態度は気にしなかったみたい。
「どーしてって、風太に誘われたから」
しかも、火人は銀河に普通にそう言った。何か、前に会ったときよりも、人間くさくなっているような?
風太と一緒にいるから感化されたとか?
「そうそう。俺が誘って一緒に逃げたんだ。で、氷鴈とちょっと知り合いだったから、ここに居させてもらってるんだ。な、氷鴈」
風太はそう言って、本を読んでいる男の人の方を見た。
「俺としては、あんまり長いこと、いてほしくないけどねー。火とは相性が悪いから」
氷鴈って人は、本ってか、雑誌っぽいな。雑誌をめくった。
この人は何の妖怪なんだろう? そんなことを考えていると、巫女服の女の子が来て、俺たちにお茶を出してくれた。
って、巫女服って!! 美優さんも巫女服だしで、俺に巫女属性になれっていってるのか? まぁ、嫌いじゃないが。
女の子は、氷鴈が持ってる雑誌を取り上げた。一体、何の雑誌だったんだ?
「それより、風太。水人に会ったんだけど、ずいぶんイメージと違ってたぞ。どうなってんだ?」
銀河はお茶を啜った。風太もお茶を啜った。俺もお茶も啜った。あ、おいしいお茶だ。
「イメージも何も、俺は俺の思った通りに言っただけだけど。てか、もしかして、お前たちって俺のこと、探しに来たの?」
風太がそう言うと、銀河は黙ってしまった。
そんな銀河の様子を見て、風太はニヨニヨと笑った。
「あんたが居ないから、旱神が来ちゃったり大変だったのさ。鬼童丸も泣くし」
「あー、そっか、そっか。俺が居ないから森の力が弱まっちゃったのかー」
鈴姉さんがそう言うと、風太は納得したかのように言った。
そして、風太に抱きついている鬼童丸の頭を撫でた。
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