斉藤君の日常


2008年6月2日    曇りだな、雨もふりそうだ。


さて、俺こと斉藤は朝に弱い。
とにかく、とてもすごく弱い。弱いからといって低血圧ではない。
ただたんに、起きるのが嫌なのだ。
ケータイの奴がいつも中途半端な時間に起こすため、布団vsたたみの実況中継ができない。
あ、俺の部屋はたたみで布団なんだ。机の上はほとんど物置だ。





しょうがなく起きると、親父は新聞を読んでいて姉ちゃんは1限から授業らしくもういなかった。
俺は寝ぼけながら食卓につくと、母さんがご飯とみそ汁をよそってくれた。
みそ汁の具は豆腐にわかめ。
俺が思うに、こいつらはジャンケンをしているんじゃないかと思う。
わかめはパーで、豆腐はグー。そこに油揚げがはいるとそいつらはチョキだ。

「母さんは、最後に残った米の気持ち考えたことがある?」

俺は朝からこんなことを言う。というか、今まさに俺の茶碗には、最後に残った米がある。
俺ってば食べるの早いんだ。

「あんた、またそんなこといってるの?」

母さんは考えたことがないらしく、そう言い俺の弁当を作っていた。
俺は……考えたことがある。きっと、最後に残った米は、いわゆる負け米ってやつだ。それか米仲間にハブられているか。
炊飯器の中の米をとると、よくそーいったことが起こる。そして、そのこびりついた残った米たちは水攻めにあう。
ほかほかになるときも水攻めにあい、最後も水攻め。
米ってある意味可哀そうなやつなのかもしれない。
だから俺は、その茶碗に残った米も、炊飯器にへばりついている米も、米の米生を全うできるように食べてやることにしている。
これを、隣の席の清川に話したら頭に「?」を浮かべていたが、残さずたべることはいいことだねと言っていた。





さて、朝飯からこんなことを感がえている暇はなく、俺は制服に着替えた。
制服も毎日大変だな。たまには平日で休みをあげ、制服同士で遊びにいかせたい。制服は働きものだ。
汚されても、何も言わない良いやつだ。ボタンだって制服の一部。
それたときはすごく痛いんだろうな、と俺は制服を着るたびに思ってしまう。
それを言うなら自転車だって凄い働きものだ。俺は学校まで自転車通学で、いつも自転車をぶっぱなしてる。
こいつらにも、たまには休みをあげたい。でも、こいつらは学校で自転車置き場に置かれたら好き勝手やっているんだ。
他の自転車と世間話をしたり、どうやってエネルギーをもらうか話して居たり。
きっと、俺の自転車は俺のことを話しているのかもしれない。
もしかしたら、自転車子ちゃんという女型の自転車に恋をしているのかもしれない。そして、サドルを交換したいとかでも思っているのかもしれない。





そんなことを考えながら、俺は毎日のように学校に行く。働きものの自転車と一緒に。



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