エピローグ


今日は大雨だった。
強風も吹いていた。
町の人たち、村の人たち、そして国の人たち皆、自分の家やどこかの施設に入り、雨風をしのいでいた。
僕は知っている。
やがて、この大雨を降らしている雲はなくなり、大きくて綺麗な月が夜の空を支配する。
いつもそうだ。

僕は自分の生まれ育った村に戻ってきた。もう、旅をしてたときの子供の姿ではなく、成長した。それでも、相変らず大人になってしまった僕の友達には「まだ子供だ」ってバカにされる。
これは、新しい日記帳に書き始めている。前の日記は世界の果てに置いてきてしまったからね。
リクはやっぱり、僕の日記を拾ってくれていた。

僕は旅してきたときのあの長い時間を全部覚えている。でも、今の僕にはそんな長い旅をするほど時間が残っていない。これからはきっと、普通の人みたいに1年ごとに歳をかさねていくんだろう。
僕は再生を見た。時間を吸い取られながら色々なものが戻ってくる瞬間を見た。
これで、僕の旅は終わった。あとは、僕もおばあ様と一緒の運命をたどるんだ。







セトは、再会したとき、別れた時より少し成長していた。
あのとき、私はセトがいなくなってしまったのかと思った。でも、セトは戻ってきた。
私との約束を果たすために。そうだろ? セト。
セトの旅は終わった。こんどは次の世代の旅が始まる。
これで、セトが何を思い、何を感じたかはわかっただろう。
私はこの日記を次の世代のために残す。また、セトのような子が現れたときに何かヒントになればいいと。
そして、私たちがこれから生きていく上で何かヒントになればいいと。
そう、未来へこの日記を託す。次の旅のために。


                             

END




 BACK|>>モドル

完結しましたー!!
いやー。お題を使用して短編を書こうと思っていたらこんなことに。
長編がメインとなっていた私にはこの話はとても新鮮でした。
今まで書いたことない感じで、あれやこれやと大変でしたが、楽しかったですv

ちなみにセトは旧約聖書にでてくるアダムとエバの子供の名前からとっています。
リクは……ほんとは違う話のキャラだったんですけどね。

では、これにて世界の果ての物語完結でございます。

2008.6.9