大空のむこう


俺たちはコウ先生に続き、裏庭に出た。そこには、大きな空船と学園長が居た。

「一緒に行くのは俺たちだけですか?」

俺はワクワクする気持ちを抑えながら、空船を見ながら先生に聞いた。

「いや、私たちだけじゃないよ。あと、学園側からはセスとスク。それから外から2人の人を招いてある」

コウ先生の話を聞きながら空船を見ていると、中から何人かの人が降りてきた。セスさんとスクが最初。次に頭にバンダナをまいて、頬に小さな星の刺青のようなものがある薄緑髪の小柄な少年。それと……

「レンさん!?」

俺は驚いた。最後に空船から出てきたのはあのレンさんだった。

「お、クウ坊にサンくん。久しぶりだな」

レンさんはそう言いながら、俺たちにむかってひらひらと手を振った。セイがわけが解らないという顔をしていた。

「クウもサンも知っているのかい? なら、話が早い。彼は探偵で探し物が得意ということで雇ったんだ。セイ、彼はレンだよ。レン、彼がセイだ」

コウ先生はまず始めに俺たちに言い、次にレンさんとセイをお互いに紹介した。2人は「宜しく」と握手をした。
まぁ、確かにレンさんは探し物が得意だとは思うけど、どっか抜けてるからなぁー……と思っているとどうやらサンも同じことを思ったらしく、俺たちは顔を見合わせた。

「へー、君らが空の異変に気づいたっていう、子供?」

後ろから誰かに声をかけられた。後ろを見るとあのバンダナの子がいた。セイやサンより少し背が低くて、俺より少し背が高い。同い年くらいかな?

「俺はリン。こんな背だが15歳である有名な海賊船の船長だ!」
「「「海賊!!?」」」

リンは自慢げにそう言った。リンは俺たちより年上で、しかも海賊だった。俺たちは驚きの声をあげた。何故、海賊が空に!!?

「あ、彼には空船を運転してもらうんだ。空船といっても、ほとんど形も海船と変わらないからね。それに操縦は海船の方が難しいしね」

コウ先生が俺たちの戸惑いに気づいてそういった。うん、たしかに空船っていうけど、帆もあるし、海船にそっくりだ。唯一違うのはプロペラがついてることだ。だからって、何で海賊が空に……。今の時代、空賊の方が有名なのに。

「どうして、海賊が空に?」

セイが怖がらずにリンに聞いた。さすが、南国少年!!

「ん? 今の海は不景気なんだよ。“空の果て”に全部話題を持っていかれたからな。今じゃ、海賊は空賊より目立たないし、収入も悪いし、こーゆうバイトをするしかないんだよ。2年前くらい前までは“海の果て”も有名だったんだけどなぁー」

リンはそうぼやくように言った。確かに、前までは“海の果て”と“空の果て”は同じくらい話題性があった。だが、“海の果て”の話は2年前くらいから聞かなくなった。

「さて、皆出発するから乗って」

学園長に挨拶を終えたコウ先生は、俺たちを追いたて空船に乗った。どうやら、学園長の話じゃ、これは極秘らしい。だから、出発だっているのに見送りが学園長しかいないんだ。
リンは操縦席に向かい、エンジンを入れ舵をとった。プロペラが回り、空船はゆっくりと地面を走り出した。そして、空に向かって飛んだんだ!!
ついに、空にいけるんだ。父さん、俺は絶対父さんのとこに行くからねっ!!
空船は、俺たちを乗せ、ゆっくりと空へ昇っていった。



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 これにて、2部終了です。
 次は遂に空に入ります。新キャラは……どうだろう?