大空のむこう


雲の上は案外寒かった。

「先生!! ついに空だね!!」

俺ははしゃいでいた。それは、もう子供みたいに。だって、ついに夢みた空だよ?
嬉しくなっちゃうじゃないか!
とりあえず今は、上昇気流とかないからゆっくりとゆったりとしている。
風がきもちいなー。

「クウ、そんなにはしゃがないの」

コウ先生は朗らかにそういった。でも、これがはがずにいられないんだ!! だって、空だよ!?

「クウ坊は、まだまだ子供だなぁー」

レンさんは笑った。ふん、今の俺はどんなことを言われたって気にしないさ!! 何て、空のように心が広い俺!!

サンとかに笑われてる気がするけど、気にしない。
空船はゆったりと動いていた。そして、ゆっくりとまた上昇を始めた。どうやら、浮島はだいぶ上のほうにあるらしい。そんな時間が何時間も続いた。ぶっちゃけ、飽きてきた。
そして、その飽きてきたころ。もう夕方というか、夜に近い。上の方に大きな雲が見えた。他のどんな雲よりも大きい。あれは絶対ただの雲じゃないよね。

「あぁ、やっと見えてきたね。あれが浮島だよ」

先生は、どこからか懐中電灯をとりだし、その大きな雲に光をあてた。
うむむ、まだまだずいぶん上だなぁ。

「ずいぶんと時間がかかるんですね?」

サンが浮島の雲を見ながら言った。セイもその雲を見ていた。

「もっと、スピードでないんですか?」

今度はセイだ。その言葉に舵をとっていたリンの耳がぴくっと動いたような気がした。

「2人の意見ももっともだが、上昇気流があまりないみたいなんだよ。それに、急な上昇は身体にも悪いし、暗いから視界も悪いしね」

確かに。ここははやり、海といえど操縦に慣れている人にまかせるべきか。俺も、このタイプは初めてだし。
どうやらサンとセイも納得したらしい。
それから俺たちは、浮島までは今日中では無理だと判断し、自動操縦に切り替え寝ることにした。



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