大空のむこう


そのまま城に帰ると、皆はもう捕まっていなかった。

「クウー!」

俺の姿を見つけると、サンとセイが来た。

「あいつら、俺たちのこと悪い奴だと思ってたらしいぞ。で、王子が危ないと思ったんだって」

セイは楽しそうに笑っていた。

「そういえば、クウ。お前、もしかして“空の果て”に行ってきたなんて言うんじゃないんだろうなぁ?」
「ざーんねん。行ってきたよ」
「何だってー!!?」

サンがものすごく怒った。
ふと、レンさんの方を見ると、レンさんがウィンクしてきた。
コウ先生は誰かとしゃべっている。

「さて、私たちは帰るとしよう。彼らは、スクをつれて王家を向かいに行くそうだ。もう、私たちの出る幕はないよ」

コウ先生の話を聞き、サンとセイがブーイングした。
でも、コウ先生の言うこともっともだ。
もう、俺たちのすることはなく、いても邪魔なだけだ。

「私は空に残るわ」

セスさんがスクの頭を撫でながらそう言った。
そうか、もう会えないのか。ううん、また会いにくればいんだよね。


俺たちは舟に乗り、空に別れを告げた。
父さんにも。でも、俺はまた“空の果て”に行くよ。
もっと、もっと勉強して。自分の作った飛行機で。
約束するよ、本当だよ。



人間ってやっぱり複雑だった。
だって、どんどん欲が出てくるんだもん。でも、それが自然なこと。
欲がなきゃ、夢を叶えられないもの。



そういえば、コウ先生から聞いたんだけど、空の上にはまだ何かあるんだって。
だから、今度はそこを探してみようと思う。
だから、絶対探し出すよ、“宇宙”



俺の夢は終わらない。きっとね、絶対に。
人間が複雑であり続ける限り終わらない。
だから、夢をあきらめてはいけないのさ。




END




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大空のむこう、完結いたしました。
最後の方は、かなり超特急になりましたが、これはこれでいいでしょう。

クウは最後まで、夢みる少年です。
次は宇宙を目指すクウですが、迷わずにいけるのかしらん?

2010.4.14