大空のむこう


赤い花のところの海に、何人かの人たちが腐らずに沈められていた。
その中に、俺は藍色の髪の男を見つけた。
あの時と同じ姿、同じ服。俺はこんなにも大きくなったのに。

「父さん……」

俺は父さんを抱きしめ、いつのまにかポロポロと涙を流していた。
父さんは、“空の果て”にいたんだね。俺も“空の果て”を見つけたよ。
だから、父さんに会えたよ。母さんに言ったら悲しむかな。
でも、父さんは地よりここの方が似合っているよ。
俺は、父さんを海に沈め、王家の人たちを見た。

「城に帰りましょう。きっと、皆怒ってないと思いますよ。それに帰らないと、地が大変なことになります」

俺の言葉に王家の人たちは、顔を見合わせていたけど、コクンと頷いた。
そんな時、スクのいた地面(?)が崩れ、スクは真っ逆さまに落ちていった。
スクの両親は「スク!」と叫び、パニックに陥っていて、何も出来なかった。
でも、俺は何故か冷静で、あの赤い飛行機に乗り、スクを追いかけた。

「スク! スク!!」

スクは体を丸くしていた。
そうだ、王家には翼があるはずだ。だから、飛べるはずだろう!?

「スク! 飛ぶんだ!! 間に合わない!!」

俺はどうにかして手を伸ばしたけど、届かない。
本当は、スクの下に回って受け止めるっていう方法があるんだけど、このときは思いつかなかったんだ。

「スク、飛べ!! お前には翼があるだろう!?」

スクの背中から、何か生えてくるのが見えた。
その何かは薄い水色の翼だった。でも、スクは相変わらず丸くなっている。

「スク!! 羽ばたけ! セスさんも、お前の親も喜ぶぞ!飛べ、飛ぶんだ!!」

俺がそう言うと、スクは体をのばし、羽ばたき始めた。

「スク、お前なら出来る! 飛べっ!!」

風が吹いた。
スクはその風をうまく捕まえ、羽ばたきはじめた。
そして、大空を舞い、飛行機にちょこんと座った。



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