Happy cooking


「お前、いくつ? お母さんの遺体は部屋にないの?」

さすがに、よそ様の子を預かることになったので、部屋を掃除しはじめた頼彦。そこまで、汚くはなかったが、あの黒くててらてら光る虫が突然でてきてもおかしくない汚さだった。いや、普通の人にとっては、この部屋はかなり汚いだろう。

「今、4年生。お母さんは僕だけしかいないし、事故だったから病院にいるの」

葵も、自分の居場所を確保するためにその掃除に加わった。頼彦は、「4年生とは一番ナマイキな時期だなぁ」と、どーでもいいことを考えていた。
片付けが終わると、2人はとりあえず昼食を食べた。(頼彦には朝食でもあるが)
昼食ってこともあり、てきとーにパンとスープを飲んだ。その時に頼彦は驚いた。パンには牛乳をと思い、冷蔵庫を開けたら見事に何もなかったのだ。
もう、そんな時期かーと思いながら頼彦は葵をつれ、最近貰ったばかりの給料を手に、スーパーに出かけることにした。

「何か食べたいものある?」

とりあえず、いやいやでも預かることになってしまったよそ様の子。ちゃんとしたものを食べさせなければと、思い問うた。

「ハンバーグ!!」

葵は、元気よく言った。ハンバーグ……一応作り方は知っているが、作れるかなと思っていたが、元気の良さに思わず「いいよ」とうなずいてしまった。

そして、いつも頼彦が買い物に来ているスーパーについた。何と、幸運なことに今日は特売日で、おひとり様1つというのが多かった。葵を連れてきて良かったと心底思い、ウィンナーなどのつかみ取りをし、さまざまなものをカゴに入れていった。もちろん、カップめんもだ。
頼彦は、両親のしおくりとバイト代で生活していた。しおくりだけでも、一応は生活できるのだがそんな切羽つまった生活は嫌で、バイトをしているのだ。おかげで、ぜいたくしなければお金があまるくらいだった。子供1人預かる余裕は一応あったのだ。
頼彦は、カゴをレジに持って行った。特売日のせいか、レジが混んでいた。すいている所を探したが、結局どこも同じだったので、近いところに並んだ。
それなりの時間がかかってしまったが、合計金額が思ったより安かったので、時間のことは忘れることにした。

さて、家に帰るとまず葵の家に行き、布団やなんらや日常品を部屋に運び込んだ。すべての準備が終わることには夕方になっていた。



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