Happy cooking


昨日までは、今日の使い方を1週間後のレポートをやるか、それとも寝て過ごすかなど考えていたが、結局片付けだけで終わってしまった。
いつもより、かなり早いが頼彦は夕食の準備を始めた。米をとぎ、味噌汁のだしをとり、サラダにするために野菜を切っておく。きっと、ここまでは不味いとかはないだろう。

問題は、ハンバーグだ。母さんの作ったハンバーグは美味しかったなぁなどと考えながら、頼彦はハンバーグを作り始めた。
やはり作り方は知っているが、作ったことのないものを作るのは難しかった。
もちろん、この家に料理の本などなく作り方じたいもうろ覚えだったが、きっと見た目はいいものができるだろうと、頼彦は思っていた。
頼彦が、ハンバーグつくりと格闘してる間に葵は宿題なのか予習なのかは解らないが「楽しい算数」と書いてある楽しくない算数のドリルをやっていた。
それから、3時間くらいたった後だ。

「よし! できた!!」

米もたけ、ハンバーグもできて、ついに夕食が完成した。ハンバーグは少し焦がしてしまったが見た目はかなりいい出来だ、と頼彦は初めて作ったにしては上出来だ! と思っていた。
頼彦がテーブルのところにいくと、葵がもうすでにハシや茶碗をだし、ドレッシングもだしすべてが整っていた。米までかき混ぜてあった。

「お前、よくできた子だなー」

頼彦は関心したように、葵に言った。

「別に……家でいつもやっているし……」

葵は当たり前だよ、といった感じでいった。そう、ただたんに頼彦ができの悪い子なのだ。
そして、2人はついにテーブルについた。

「「いただきます」」

そして、夕食を食べ始めた。
まず、葵は最初にハンバーグにハシを伸ばし、一口くらいのサイズにきり口の中に入れた。頼彦は、それを一部始終みていた。そして、葵の口から発せられた言葉は……

「……マズイ。お母さんの方が100倍は美味しい……」

そういい、ハンバーグを隅の方においやった。

「何だと!!? 人がせっかくつくってやったのに!!」

頼彦は、絶対美味い! という感じで自分のハンバーグを口にはこんだ。そして……

「………ハンバーグってこんな味だったけ?」

吐いた。頼彦はどーなってんだ? とでも言いたそうに言った。
どうやら、このハンバーグはとても食べられる代物ではなく、だが捨てるのももったいないので、この間からこの辺に住みついている野良猫にあげることになった。
そして、今日の夕食は米と味噌汁にサラダという質素で地味なものとなってしまった。



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