ポラリス


僕たちは聞きたいことだけを聞き、星の住みかを後にした。多分、二時間位しかいなかったんじゃないかなぁ。
でも、昨日のこともあるし、明日は学校だし、色々考えたいし。

「なんか、僕たちって恵まれてるね」

家に向かう途中で、カノープスがそう言った。確かにカノープスの言う通りだ。
オリオン座のメンバーに比べれば僕たちは凄く恵まれている。僕たちは我侭ばかり言っている。
もしかしたら、そのせいで母さんたちを傷つけていることもあるかもしれない。

「そうだよ。君たちはものすごく恵まれている。それにやっと気付いたの?」

突如、僕たちの横からそう声がした。知らない子の声。声の主を見たけど、知らない子だ。
でも、どこかで見覚えがある。でも、どこだろう? 僕たちはいつのまにか三人の子供たちに囲まれていた。
僕が考え込んでいる間に包囲されたに違いない。きっと、僕たちより年下の子たちだろう。

「僕はフェグダ。北斗七星だ」

銀髪の、僕たちに最初に声をかけた子がそう名乗った。
そうか。北斗七星のアジトで見たんだ。確か、リゲルの前にいた子たちだ。

「僕はメラク」

僕たちの背後にいる髪がくるくるした子が名乗った。この子も北斗七星のアジトにいたぞ。

「僕はズーベ」

最後に、フェグダと対角線上にいる……つまりカノープスの横にいる小柄な子。

「僕たちをどうするつもりなの?」

カノープスは不安そうに問うた。カノープスの奴は臆病だから、僕の服を掴んでる。きっと、不安というか怖いのかもしれない。
僕はあまり怖くないけど。けがとかはさせられなさそうだし。

「君たちには迷惑かもしれないけど、アジトに連れて行く。逃げようだなんて思わないほうがいい。君たちに魔法は使えないのだから」

フェグダがそう言い終わるやいなや、他の二人に逃げられないように掴まれた。抵抗すれば出来たかもしれない。
三人は年下で、僕たちよりも小さいし。でも、僕たちは抵抗しなかった。逃げたら魔法で何されるかわからなかったからだ。
こうして、僕たちはあっさりと、北斗七星のアジトに連行された。


 



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