リゲル


僕はオリオンにたくさん救われた。今もあの時だってそうだ。
僕は、殴られたばかりの状態ですばるに行った。毎日、夜にすばるに出かけるのがバレたんだ。
僕は正直にはなしたけど、パパたちは信じてくれなかった。
信じてもらえなくて、パパには顔が腫れるほど殴られ、ママには嘘つきって罵倒された。
嘘なんか何一つついていないのにね。おかしいよね。
僕は、顔の腫れがバレないようにしていたんだけど、オリオンにバレた。オリオンは驚いた顔をしていた。

「お前、その顔どうした?」

オリオンは凄く心配していた。
僕は何も言わなかったけど、オリオンは僕がどんな目に合っているか何となく知っていたから、直ぐにこの顔の理由がわかったみたい。

「リゲル。お前の家、どこだ?」

オリオンは暫く黙っていたけど、いつもより低い声でそう言った。
僕はオリオンを見上げた。何で、オリオンが僕の家の場所を聞くの? どうして、オリオンが怒っているの?

「自分の子供にこんなことするなんて間違っている。リゲルは悪くないのに、こんな痛い思いをするのも間違っている。 何があったのかは知らないけど、きっと親だって苦しんでいる。なら、誰かが止めないと。リゲルも両親も壊れちまうよ」

オリオンはしゃがんで、僕と目線と合わせ、腫れている所に触れた。
鏡を見ていないからどんなふうになっているのかわからないけど、オリオンが触れた所から痛みがひくような気がした。

「過ちは繰り返してはいけない。だから終わらせなければならない。過ちは後悔して、反省して初めて意味のある物になるんだ」

オリオンは真剣な目でそう言った。
どうして、オリオンはこんなに暖かいんだろう。僕は、オリオンと出会えて良かった。



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