たったひとつの奇跡


何が起きたかよくわからなかった。僕は怖くて目を瞑っていたから。でも、気づくと銃弾戦はやんでいた。

「あ、アレックス!!」

ドミニクの困惑した声がした。僕は目を開けた。

「そ、そいつらは何者だ!? どこから、現れた!!?」

今度はジェームズの声がした。僕は何事だろうとキョロキョロと自分の周りを見た。
見たことのない人が3人増えていた。その3人とミチルで僕たちを護るようにして立っていた。僕は足元を見た。

「え!? 嘘!!?」

足は地についていなかった。よく見ると、僕たちの周りをキラキラしている球体が僕たちを護るように包んでいた。

「Good Timingだね!」

その中の1人が言った。皆、ミチルと同じような金髪で耳が尖っていた。だが、体格は皆ちがく、さっき何か言った子はミチルと同じくらい、もう1人は背が高く、最後の1人は一番小柄で何故か車窓さんのような服を着ていた。だが、服と帽子が大きすぎるのか手は隠れていて、上着がほとんど全身の服となっていた。

「どこが、Goodだよー、マーチ。遅いよっ!」
ミチルがさっき何かを言った子にそう言った。

「しょうがないだろ。俺たちだって忙しいんだから」
「そうそう。エルの言う通りです。僕らも忙しいのですよ」

長身の奴がそういうと、次に小柄な車窓さんみたいな奴が同意するように言った。

「知ってるよ。マーチ、エル、ノエル」

サンタが発言した順に見ながら笑顔で答えた。3人は「別にー」とテレた顔をした。
光の球体はゆっくりと地上に降りた。そこにいる僕たち以外の人たちが呆然と佇んでいた。

「さてと、今回俺たちは秘密道具を持ってきた」

エルがそう言い、マーチとノエルの方を向いた。2人はうなずき、あきらかにポケットの入らないだろう! とツッコミを入れたくなるようなものをポケットから次々とだし、それをエルが組み立てた。
何だか、出来たものは大砲に似ていた。大砲の筒の下には、砲弾を入れるところはなく、代わりに白い袋のようなものがついていた。
ジェームズやドミニクたちはその大砲を見て、また銃を僕たちの方に向けた。



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