ベラトリックス


遅い時間まで明るいっていうのは厄介ね。だいぶ暗くなってきたけど、ついつい時間を忘れて話し込んでしまう。
そんなことがよくあるの。

「あ! いけない! もう六時だ!」

夕方の六時を過ぎたころ、ポラリスがそう言った。
話の間で出てきたけど、双子は今日、家族で外食をするみたいなの。羨ましいわね。
双子は慌てていた。

「ねぇ、私も買い物に行くからそこまで一緒に行きましょう?」

  うっかりしてたけど、私も買い物に行かなきゃ。どこかのスーパーが安売りとかしていればいいんだけど。

「うん、行こう行こう! 一緒に行こう!」

カノープスはいつでも元気。元気にそう言った。私も急いで支度をすませ、私たちは外に出た。

「じゃあ、皆。またねー」

ポラリスがそう手を振ると、見送りに来てくれたオリオンたちは口々に「気をつけろよー」とか「またこいよー」と手を振った。
私たちは途中まで、一緒に歩いた。双子は少し急ぎ足だったから私も二人に合わせた。
星の住みかから真っ直ぐ進み、角を曲がる。そこまでは一緒の道。その角を曲がったところで、私はまた角を曲がる。
スーパーも双子の家も、星の住みかからは少しだけ歩くのだ。

「じゃあ、ベラトリックス。僕たちこっちだから。あ、そうそう。 そこにスーパーだけど、今日安いみたいだよ。広告が入ってきてた」

カノープスはそう言って、私たちがいつも買い物に行く比較的安いスーパーを指差した。
そういえば、見た感じ今日は人がたくさんスーパーから出てくるわね。
そういうことだったのね。知っていたらもっと早くに行ったのに。売り切れてないといいんだけど。

「そう。ありがとう。二人とも気をつけてね?」

私たちはお互い手を振り、別れた。
私は再び角を曲がり、双子は真っ直ぐ歩いて行った。広告が入ったってことは、きっと朝からやっていたのよね。
まぁ、でもお金もそんなにないからたくさんは買えないし。品数がそんなになくても関係ないかもしれないわね。
栄養にいいものを見繕って、お肉とお野菜と牛乳と……。パンは貰うから大丈夫ね。
私は、買うものを考えながら、スーパーの中へと足を踏み入れた。



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