平成百鬼夜行〜風人伝〜


「風太――――!!!」
「風太さ――――ん!!!」

先に叫んだのは俺だ。
ざまぁみろ、俺の勝ちだぜ! クソチビ聖!!
聖の小さく舌うちする音が聞こえた。

風が吹いた。
そして、木の上から何かがこっちにくるのが見えた。

「はぁーい!」

風太だった。
風太は何がそんなに楽しいのかよくわからないが、楽しそうに笑っていた。

「何用だい? 遊びに来たの?」

風太はそう言い、ふわりと地面に降りた。
俺と聖は同時にしゃべりだした。
そして……。

「村に出没してる鬼のことで来たんですけど、あの鬼止めてもらえませんか!?」

聖が早口にそう言った。
早口言葉が苦手な俺は、見事敗北した。

「あ〜、鬼のことで来たのね。なぁーんだ、遊びに来たんじゃないのかぁ……。徹平も鬼のことっぽいね? あいつ、今森に帰ってきてると思うけど……」

風太は森の奥を見た。
風太の目線の先から「キャハハ」という楽しそうな声が聞こえてきた。

「風太――!!! そいつ捕まえてくれ――!! 鈴音の奴が、せっかく捕まえたのに逃がしちまった!!」

その、目線の先からは笑い声とは違う人が走ってきた。
てか、この人銀河さん!!

「何? あいつ、また……!! 今どこだ!?」
「上だ、上!! 木の上!!」

俺たちは皆で銀河さんの目線の先の木の上を見た。
葉が大量に落ちてきた。
そして……。

「うわっ!!?」

俺の上に何かがふってきやがったのです。
赤い何かが。



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