平成百鬼夜行〜風人伝〜
「捕まえた!!」
「うおっ!? 銀河さん、重いっす!!」
「俺のことは銀河でいい!」
えー……何があったかと言うと、俺の上に降って来たあの赤い何かを捕まえるために、銀河さ……銀河が俺の上におもいっきりダイブしてきたのだ。
「何でもいいから、早くどいてくれ――――!!!」
ほら、聖に笑われたじゃんかYO――――!!!!
「おぉ、スマン」
やっとこさ、銀河はその赤い何かをひっぱり、どいてくれた。
よく見ると、いやよく見なくてもだが、その赤い何かは子供だった。
んあ? 頭に小さな角が2本ある。それに、赤い着物に下駄で赤毛。
こいつか、例の鬼っていうは!!
「捕まっちゃったぞー。風太、遊べー!」
鬼はにぱーっと楽しそうに笑った。
捕まったのがそんなに楽しいのか?
風太は呆れたようにため息をついた。
「わかった。遊んでやる。だから、もう人里には行くなよ? お前があまりにも、皆に迷惑かけたもんだから、立花神社に聖がどーにかしてとわざわざ言いに来たんだぞ」
風太はまるで、子供を宥めるように言った。
あれ? 何か、風太ってこいつの保護者的な?
「あ、因みにこの鬼は、鬼童丸ってんだ。対して害はないと思うよ。そして、鬼童丸は、あのかの有名は酒呑童子の息子だ。わけアリで今は風太のとこにいるが」
「酒呑童子の!!?」
鬼のことを紹介したのは、銀河。
声をあげて驚いたのは聖だ。何か、聖って妖怪マニアっぽいな。
もちろん、俺はそのしゅてん何とかが何なのかは知らない。
ばーちゃんに聞けばわかるだろ、聖には聞きたくないし。
「まぁ、いいや。徹平と聖はちょっとさがったほうがいいよ。俺、今からこいつと1対1の鬼ごっこするから」
風太は軽く準備運動をしながら、そう言った。
鬼だから鬼ごっこなのか? 意味わからん。
相変わらず、鬼童丸だっけ?こいつは楽しそうだし。
てか、こいつ下駄なのに走れるのかよ?
急に暑くなってきた。
「風太、誰か来た……」
さっきまで楽しそうだった鬼童丸が、今度は態度をいっぺんして、風太の後ろに隠れた。
森の奥のほうが、暗くザワザワと木たちが意味ありげにざわめいている。
「あら、さっしがいいのね。あたしはもう会ったけどね。風太にお客様よ」
現れたのは鈴姉さん。
「知ってる。あいつだろ?」
風太は森の奥を見据えながら言った。
なんだか、ホントに暑い。
「あいつとは失礼だな。風人よ」
風太の目線の先から、1人の青年が急に現れた。
誰だ、こいつ。
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