平成百鬼夜行〜風人伝〜


突然現れたそいつは、炎のように目をギラギラさせた奴だった。何か俺の苦手な奴っぽいぞ。

「よう、風人。久しぶりじゃねぇか」

そいつは俺たちに見向きもせず、風太にそう言った。
だが、俺たちの方はそいつのことをジロジロと見ていた。いや、ジロジロ見ていたのは俺だけか?
身長的、体格的に見るとそいつは俺たちより年上に見えるけど、風太の知り合いってことは超年上か?

「何だ、お前。まだ人間と関ってるのか? お前わかってないな、何でお前が追われているか。それともあの女の時と同じようになりてぇの?」

そいつは、鼻で笑いながらそう言った。

「あいにく俺は人間が好きなんでね。お前らと馴れ合っているより、彼らと関っていた方がいい」

風太はそうはっきりと言った。
何だかいつもと風太の雰囲気が違う。それにあの女って何だ?
風太の過去になにがあったんだ?

「なぁ、あいつ誰? 随分偉そうだけど」

俺は隣に居た聖にこっそりと聞いた。
聖は緊張しているようだった。いや、銀河も皆も緊張しているように見えた。
わけがわかってないのは俺だけだろう。
俺も仲間に入れてくれ!!

「火人様だよ。風太さんと同じ守り神だよ。この間、鈴音さんが言ってただろ?」

あぁ、そういえば何か言ってたな。最初がどうとか、最後がどうとか。
あいかわずよくわかってないけどさ。
でも、俺にはこの火人って奴はそんなに悪い奴には見えないけどな。ヤンキーっぽいけど。

「別に今日は捕まえにきたわけじゃないぜ? ただのお知らせさ。今から一週間後“高天原”にて集まることになったから。お前さ、土人に目つけらてるからちゃんと来たほうがいいぜ?」

火人はそう言うと、楽しそうにケタケタと笑った。
うーん……悪い奴ではなさそうだが、性格は悪そうだ。

「行かなかったらどうなるんだい?」

風太は自分の後ろで怯えている鬼童丸の頭を撫でながら言った。

「さぁ、どうなるんだろう? お前勝手なことしすぎなんだよ。ちゃんと来いよ」

火人はそう言いながら、炎に包まれ消えていった。
俺はチラリと風太の方を見たが、風太はなんともいえない複雑そうな顔をしていた。



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