平成百鬼夜行〜風人伝〜


あれから数日がたった。
この間、風太にあったけどどうやら元気そうだった。
俺は夕暮れを1人で歩いていた。と、いうか学校帰りだ。
ここの夕日はものすごく綺麗だ。さすが、田舎。
都会じゃ、こんなの見れなかったぞ。
俺は空を見るのは好きだからな。

「ん?」

突然、俺は誰かに袖をひかれたような気がした。
振り返ってみると、そこには誰もいなかった。

「気のせいか」

俺は前を向き、また歩き出した。
だが、すぐにまた誰かに袖をひかれた。
何だかイライラしてきたぞ。

「誰だ!?」

俺は勢いよく振り返ったが、やっぱりそこには誰もいなかった。
何で? いったいなんだってんだい? てか、何事?
さすがの俺も何だか怖くなってきた。
だ、だって……妖怪がいるこの村だぞ。
姿が見えないってことは……まさか、幽霊とかそーゆう類のもの!!?

「うわぁああぁああ!!」

俺は走り出した。それも、今までにないくらいのスピードで。
1人で帰るんじゃなかったー!!!
俺は必死で走った。
でも、俺は体力のない都会のもやしっ子だ。
全力疾走を長い時間できる気力もなく、すぐに疲れて諦めてしまった。
苦しい、息がぁ……。
俺はぜいぜいと、息をきらしていた。
その苦しい中、俺は変なものをみた。
獣のように毛が生えているが、人のような形。だけど、手と足が一本しかない。
そんな変な奴が走り去っていったんだ。

「何だぁ、今の。また、妖怪かなんかか?」

俺はその変なのを走り去ったほうを見ていたが、すぐに見えなくなった。
それからは、別に変わったこともなく家についた。
今日の帰りは変なことばっかりだ。
あとで、ばーちゃんに聞いてみよう。
ばーちゃんなら何だかわかるかもしれない。
そして、あれも幽霊じゃないかもしれない。そうだったら、嬉しいな……。



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