平成百鬼夜行〜風人伝〜


あれから一ヶ月がたった。
俺はあの獣みたいな奴とか色々ばーちゃんに聞こうと思っていたが、家に帰ったらプリンという素晴らしきものがあったため、そんな出来事は空のかなたに飛んでいってしまった。
よーするに、忘れたってことだ。

「もう、梅雨なのに全然雨が降らないねー」

翔子が、青々と広がる空を見ながら言った。
そう、今は6月半ば。そして、今日は日曜日。
もう一ヶ月以上雨が降ってない。 気象庁は異常気象だって言っていた。
梅雨前線はあるのに、ここの村だけ雨が降らないんだ。
お陰で、田んぼはカラカラだし、畑もカチカチ。野菜とかも枯れてしまった。
流石に、ここまで雨が降らないと困る。

「これは、旱(ひでり)神様の仕業じゃ。旱神様が、村をお通りになられたのじゃ!!」

縁側に大人しく座っていたばーちゃんが、急にクワッとした顔で言った。
こえーよ、ばーちゃん。

「旱神様?」

ほら、案の定翔子が興味を持ったよ。俺も一応聞いておくか。

「旱神様は、干ばつの神様じゃ。雨を降らせなくさせるんじゃ。姿形は獣のような姿じゃがな。これは、立花神社に行って風人様に龍神様を呼んでもらわなぁ」

ばーちゃんは、そう言いそそくさとどこかへ行ってしまった。
ばーちゃんって絶対オカルト好きそうだよね。てか、謎とか好きそう。
ん? 獣みたいのだったら随分前に見たような気がするぞ。
まさか、あれが……。

「おばーちゃん、私も行く―――!!!」

翔子がばーちゃんの後を追った。きっと、立花神社に行くんだろう。
流石の俺もついていくことのした。



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