平成百鬼夜行〜風人伝〜


そんな俺たちが悩んでいると、どこからか陽気な歌が聞こえてきた。

「るんるんるん、るんるんるん、雨がふらない、ふらないな〜♪」

ごろも悪く、何だか音も外れていたがとても楽しそうだった。その声はだんだんと近づいてきた。俺たちはは息と飲んだ。そして、現れたのは黄色のレインコートに長靴。そして、雨でもないのに黄色い傘をさした男の子だった。

「しめた!! 雨降り小僧だ!!」

聖はそう言い、男の子に駆け寄った。俺も駆け寄った。
ほほー雨降り小僧は俺も知ってるが、この時代では雨降り小僧もレインコートなんだなぁー。

「およよ? どーしたの? 小雨(こさめ)に何か用?」

男の子は聖の方を見た。どうやら、この雨降り小僧は小雨と言うらしい。

「小雨っていうの? 君、雨降り小僧だよね? 俺はここの守り神風人様をお守りする立花神社の聖ってものだ」

聖はそう言い、ことこまかく今までの出来事を小雨に話して聞かせた。小雨は、わかっているのかわかっていないのか、よくわからないが首をかしげ聞いていた。

「そっかー。だから、小雨でも雨が降らなかったのかー。だったら、龍神様を呼ばないと」
「君は龍神様が呼べるの?」

空をおかしいなぁ、と見上げる小雨に聖は問うた。龍神ってことは、龍だよな?

「あのね、小雨。雨師様に教わったの。この村で一番高い丘はどこ?」

小雨はそう得意げに言うと、今度は小雨が聖に問うた。
俺と聖は顔を見合わせて思わず跳びはねて喜びそうになったが、思いとどまり小雨に風森の中でも一番高い丘に案内した。



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