平成百鬼夜行〜風人伝〜


「何だぁ?」

俺はその光をじっと見た。と、いっても薄布があるからみやすいとはいえない。
それは、光……ちょうちんが、たくさんのちょうちんが並んでいるようにも見えた。そう、誰かがちょうちんを持っていた。

「あれが百鬼夜行。皆、最後尾に並ぶぞ」

そう言ったのは銀河。銀河はいつのまにか手にちょうちんを持ち、それに近づいた。
近くで見るとわかる。そこには、長い列があり着物の人たちがいた。TVとかでよく特集とかやっている都市伝説的なやつらもいた。
俺たちは銀河のいうとおり列に並んだ。

「銀河殿ではありませんか。鈴音殿も鬼童丸殿も。そちらの2人はどなたですか? 見たこのとのない方たちですね」

列に並ぶと、その前にいた女の人に声をかけられた。その女の人の隣には犬耳尻尾の烏帽子男がいる。

「お久しぶりです、朱璃(しゅり)さん。この2人と我が森の新入りです。珍しいでしょ? 山犬つきです。それより、黒火(こくひ)師と小金(こがね)を見ませんでしたか?」

どうやらこの2人知り合いらしい。隣でこそこそと聖が何の妖怪か鈴姉さんに聞いている声がする。俺も聞いておこう。

「朱璃は子獅子。獅子、与壱の娘だよ。子といってももう大人だけどまだ半人前ってことさ。一緒にいるのは狛犬の当主の朱璃の旦那だね」

鈴姉さんはさらに小声で続けた。銀河はまだ前の2人と話してて、鬼童丸はキョロキョロとしていた。黒影は眠たそうにしていた。

「黒火っていうのは、空狐。もう妖狐を引退して、大神狐で銀河の師さ。小金っていうのはまだ若い狐で、銀河の弟子。天狐は東西南北に1匹ずつ存在していて、その四方をテリトリーとしているのさ。あそこに金髪の子が見えるだろ? あの子は猫又の中でも純粋な猫又の朝陽(あさひ)。純粋っていうのは、人や鬼を食べないってことだね、あたしらと違って」

そう鈴姉さんは知っている妖怪について次々と俺たちに教えてくれた。聖はすごく熱心に聞いてる。翔子だったらもっと喜んだかもしれない。
そういえば聖が久那を見たとかなんとかいってたけど、俺は解らなかった。まさか、俺の布の方が厚い布!?
暫くすると、列は進むのをやめた。ひょこっと顔を横から出し、前を見てみるとそこには10円に書いてあるような風景が広がっていた。
湖の上にたつ社。それに鳥居。俺はこんなところ知らない。俺たちはついに妖怪の世界に!? はいったらしい。



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