平成百鬼夜行〜風人伝〜
でかい鯉が大暴れしている。その姿は後ろにいる俺たちにも見えるくらいに。
きっと、ここにいる俺たちなんか食われちゃうんだろうな。だって、妖怪たちだってびっくりしたり、怖がったりしてる。
あ、でも前にいる朱璃さんはその鯉を何か食べたそうな目で見ているのには後に気づいた。
「あいつって、誰ですか?」
聖が鈴姉さんに聞いた。鯉に近い人たちは何だか騒がしい。あ、人じゃなかったな。
「水人さ。銀河、あんた天狐だろ? どうにか出来ないのかい?」
「どうにかって……俺の属性は火だからなぁ……。水相手にはちょっと……」
銀河は多分無理といった感じに言った。ふーん、妖怪にも属性ってあるんだなぁ。確かに、火じゃあ水には勝てないな。消されるし。その前に食べられちゃったり?
「こうなったら、正面突破しかないかなぁ。隙をついて。鬼童丸、ちょっと見てこい」
銀河がそう鬼童丸にいうと、銀河にひっついていた鬼童丸は首を横にふった。しかも、ちょっと泣きそう。それを見て、銀河はため息をついた。
そんな時、聖と黒影が列を外れた。
「聖?」
銀河はそんな聖を不思議そうに見た。聖も銀河を見た。
「よーするに、あの鯉を倒せばいいんですよね? だったら、俺と黒影に任せてください」
そういって、聖と黒影はあのデカイ鯉の方に向かった。うーん、なんだか聖が活躍しそうな予感。
それだけは主人公として、防がなくては!!
「あれ? 徹平も行くの?」
俺がこっそり聖の後をついて行こうとすると、銀河にバレた。
「いやぁ、聖1人じゃ心配で。だから見てくるっ!!」
俺はそう言い、銀河の返事もまたずに走りだした。銀河が気をつけろよーと言ってる声がする。鈴姉さんがあんたら2人だけの方が心配だわと言ってる声もする。でも、俺は走った。
聖になんかに活躍の場を取られてたまるかっ!!
追っかけている間、色んな妖怪に見られた気がするが気のせいとしておこう。
「聖!!」
俺はやっと聖に追いついた。ってもう湖のとこじゃん。
「何だ、お前も来たのか?」
聖は特にまだ何もしてないようだ。鯉は相変わらず暴れている。近くで見ると思っていたより結構デカイ。
「お前、どうやってあの鯉倒すの?」
「まぁ、見てなって」
聖はそう言い鯉をにらんだ。
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