平成百鬼夜行〜風人伝〜


俺たちは、無言で祠に向かった。
この時に、久那ノ神様と白月と別れた。
祠は、何かちっちゃな建物みたいな感じで、何かよくわからなかった。

「やっぱり、あたしはこの祠を知ってるよ」

鈴姉さんが、祠をジロジロと見ながらいった。そして、続けた。

「確か、この祠は自分の行きたいとこに連れて行ってくれる祠なはず。そうだったよね、朱璃」

鈴姉さんは、朱璃さんの方を向いた。
朱璃さんは、コクンと頷いた。

「確か、そうだったと思います。この祠に触り、行きたいところを言えば連れて行ってくれると、前に父が教えてくれました」

朱璃さんは、ニッコリといった。
この人も、ずいぶん優しそうな人だよな。

「でも、この祠、ずいぶんと汚れているなぁ」

銀河が祠についた汚れを見て言った。
確かに、ずいぶん汚い。泥だらけだし、ほこりまみれだし。
誰も、掃除したりしないのだろうか?
何より、祠の周りにも雑草とか生えちゃって、誰も掃除に来ないお墓みたい。

「確かに、汚いね。何か、こんなに汚れていると、連れて行ってもらえなさそうだよ」

確かに鈴姉さんの言うとおり。
そんなわけで、俺たちは祠の掃除を始めた。旦那さんたちも手伝ってくれた。
祠の周りに生えていた雑草は、ずいぶんと頑固な雑草で、とるのが大変だったけど、この俺にかかれば、こんなもん! って思ったけど、かなり大変だった。
もっと、まじめに畑仕事をしとけばよかったなぁ。
てか、ちょっと眠くなってきた。

皆で掃除したから、祠はあっという間に綺麗になった。見違えるほどだ。
これなら、ご利益もありそうだぞ。
でも、俺と聖は人間だしで、すっかり疲れちゃって、その場に座り込んだ。
まさか、こんなとこに来てまで掃除するはめになるとわな。
明日の掃除はサボってしまえ。



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