平成百鬼夜行〜風人伝〜
神社って言うのは、いつ見ても不思議な感じがする。
ただでさえ、ここは自然がいっぱいで静かなところだ。
何が言いたいかってーと、不気味な感じもするって事だ。
「ふぁー、凄い神社だね。鳥居大きいし」
俺の後ろから聞き覚えのある声がした。
あれ? 俺、誰かと一緒に来たっけ?
俺は後ろを見た。そこには…。
「翔子!! 何でお前がこんなところにいるんだよ!!」
息を切らしてる翔子がいた。
「私だって神社行きたいもーん。お兄ちゃんだけずるい!」
翔子はむぅっと頬を膨らました。息が切れてるって事は…走ってきたのか?
てゆーか…何で俺が神社に行くって事知ってるんだ?
まさか…あんのダメ親父、ちくったな!!
ちくしょー。翔子といると疲れるんだよなー。
あ、そういえば…。
「お前、昨日の約束守れよ。コンビニ探して週刊誌買ってくるってやつ」
俺はびしっと翔子に言った。
「そんな事より、早く神社に入ろう!」
翔子が話しをそらした。
そして、笑って誤魔化し鳥居をくぐった。俺も後に続いた。
「あら? お参りにきたの?」
優しそうな綺麗な声がした。俺と翔子は声の方を見た。
な、なんと!! そこには、綺麗なお姉さんが、巫女さん姿の綺麗なお姉さんが竹箒を持って地面を掃除していた。
どこかで、見たような光景。
こんなにもベタっぽい場面なのに、どうしてこんなにも心臓がドキドキいってるんだろう。
どうした、俺!!? ついにおかしくなったか!!?
「お兄ちゃん、顔が真っ赤だよ?」
翔子が俺の顔を覗き込んだ。
流れるような黒い髪、そして和服美人。まさにこの人は俺の好みとぴったり!!
年上ってところも最高さ!
って違うんだ!! 俺はこんなんじゃない!! こんなの俺じゃない!!
「俺、永田徹平って言います! こっちは妹の翔子。最近こちらに越してきたので挨拶にきました」
って、俺!! なにちゃっかり自己紹介しちゃってるの!!?
「徹平くんに翔子ちゃんね? 私はここの神社の娘で立花 美優(みゆ)よ。宜しくね」
美優さんは煌くような笑顔で言った。
美しく優しいか…まさに貴女にぴったりな名前です!!
俺の名前も覚えてもらったし、これで一歩前進だ。
って違う!! 俺はそんな事考えてない!! 俺は健全な中学生だ!!
この…感情は好きとか一目惚れとかそうゆうんじゃなくて…憧れだ!!
美人には誰だって憧れるだろ?
あれ? でも、ここの娘って事はさっきのちっさい奴のお姉さんか?
「美優さんは、聖って奴のお姉さん?」
俺はきょとんとした顔で言った。
「徹平くん、聖を知ってるの?」
「知ってるって言うか…ばーちゃんの畑の横を黒い大きな犬と歩いてました」
「……え? 徹平くん、黒影…いえ、犬が見えたの?」
美優さんがびっくりした顔で言った。美人はどんな顔をしても美人だなぁ…。
とゆーか、あんなでっかい犬誰だって見えるだろ。目が赤いっていう珍しい犬だったし…。
「ごめんね。私、ちょっと弟のところに行ってくるわ。2人ともゆっくりしていってね」
美優さんは、にっこり笑い、竹箒をその辺に投げ捨て走って言ってしまった。
んー、言っちゃいけない事だったのかな?
嫌われなきゃいいけどなぁ…。
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