平成百鬼夜行〜風人伝〜


「今日、この学校に転校してきた永田徹平くんだ。皆仲良くな」

父さんは翔子と一緒に小学校に向かった。
俺は俺で、学年で1クラスしかない担任のクラスに紹介されていた。
俺が前まで通っていた都会の中学校は1クラス40人で5クラスもあったが…。
この学校、しかも俺の学年は20人の1クラスしかない。
さすが田舎って感じだな…。まぁ、村だし?

俺は担任の先生に指示されるように空いている席に座った。
定番の窓際の一番後ろだ。そう、定番でありワンダホーな席だ。
はじっこだから何やっても目立たない。
俺は鞄を机の横に掛け、席についた。

「はじめまして! 私、三山 咲(みやま さき)よろしくね!」

突然隣の席の女子に話しかけられた。
これまた定番な…。
その女子はショートカットの活発そうな女子だ。
俺の思い込みだかきっとバスケをやっているだろう。

「俺は徹平。よろしく」

これまた定番な自己紹介。

「そうだ! この学校の裏山には近づかないほうがいいよ。樹木子(じゅぼっこ)がいるの」

三山は少し興奮ぎみにいった。
てか、裏山なんてあったんだな。

「樹木子って何だ?」

俺は頭に? を浮かべて聞いた。
もしかしてまた翔子が好きそうな話だったりして…。

「樹木子っていうのは、通りかかる人間を捕らえて生き血をすする樹木の妖怪よ。私は見たことないけど、見たって人がたくさんいるんだから!」

あーやっぱり翔子の好きそうな話だ。
てゆーか血をすするって吸血鬼かよ。

「でも、何でその見たって人は無事だったんだ? 蚊みたいに少ししか吸わないやつなのか?」

てかぶっちゃけ、木の近くで蚊に食われただけだったりしてな。
それを樹木子って間違えてんの。
あ、でもまだ蚊の時期じゃないな。

「よく知らないけど、見た子がいうには狐が現れたんだって。銀色に輝く4本の尻尾をもつ狐が」

その時チャイムがなった。
三山は教科書を机の中から出した。
銀色に輝く狐に樹木子ねぇ…。風太か聖ならなんか知ってるかな?
俺はそう思いながら窓の外を見た。



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