僕たちのキラキラ


次の日……24日の朝。
また僕はラスの吠える声で目が覚めた。
何でこのバカ犬は、こんな朝早くから吠えるかなー。

「もう、こんな朝早くから散歩の催促するなよ。僕まだ眠いんだからな」

結局僕はラスを散歩に連れて行った。
相変わらずラスはどんどん僕を引っ張り、いつものようにいつもの時間に僕を中央広場へ連れて行った。
中央広場には昨日と同じように綺麗だった。

「あれ?」

僕の目は節穴ではないと思う。
やっぱり、昨日の夜と同じ。
広場はキラキラしていなかった。
そして、あるものがなかった。
なければならないはずのものが。

「ナイジェル、ナイジェル!」

昨日の朝と同じようにアンジェラが現れた。
因みにアンジェラは僕より1つ年上なんだ。
そういえば……今日はアンジェラが僕にプレゼントをくれる日だ!

「おはよう、アンジェラ」

僕はアンジェラがくれるプレゼントのことが気になり、あるはずのないもののことは一瞬にして忘れてしまった。
気のせいってことにしたんだ。

「約束どおり、プレゼントを持ってきたぜ」

アンジェラはそう言い、にぱっと笑い、いつも持ち歩いているボロボロのショルダーバックの中から見覚えのある金の星を取り出した。
僕はそれを見た瞬間、はっとした。
そして、ツリーのてっぺんを見た。
あるはずのないもの……そしてキラキラがない原因がわかったような気がした。

「それ、ツリーの星?」

僕はおそるおそるアンジェラが持っている星を指さした。
ラスがうろうろと自由になれる範囲を歩いていた。
そう、あるはずのないもの。
ツリーの上に昨日の朝は輝くキラキラの金の星があったのに、今はないんだ。

「そうだよ、昨日の夜取ったんだ。凄いだろ?」

アンジェラは自慢げにそう言った。
僕の頭に一瞬どうやって取ったのかな? って質問が浮かんだ。
きっとアンジェラのことだ、無理やりよじ登ったんだろう。
アンジェラは運動神経はいいし、ツリーも本物の木にイルミネーションしてあるし。

「だめだよ、アンジェラ! ちゃんと戻さなくちゃ、キラキラがなくなっちゃう。戻らなくなっちゃう」

僕は思わず大声に近い声で叫んだ。
アンジェラはよくわからないって顔をした。
だんだんと人が広場へ集まる時間になってきていた。

「取りあえず、その星は僕が預かるよ。今日の夜、11時ぐらいにここに来て。星をツリーに戻すから」

僕はそう言い、アンジェラの手から星を取った。
アンジェラはめんどくさそうな顔をしたが、「うん」と返事をしてくれた。
何か…人のものを盗んでずっとそれを持っている人の気がわかった気がした。



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