僕たちのキラキラ


僕はラスの散歩を終え、家に帰った。
きっと今の僕は挙動不審でビクビクしているのだろう。
町中は相変わらずウキウキした感じだったが、キラキラはしていなかった。
今日はイヴだっていうのに!!

「ナイジー」

僕が家の中をうろうろしていると、急にお母さんに呼ばれた。
僕は少しびっくりした。
あーもう! アンジェラのせいだ!!

「な、何?」

あーもう! 何どもってるんだよ、僕は!!
僕って絶対犯罪とか隠し事とか出来ないタイプだね。

「どうしたの? 熊みたいにうろうろしちゃって……」

あーやっぱりお母さんは僕のこと奇妙に思ったんだ。
さすがお母さん。

「何でもないよ?」

僕は何事もなかったような顔で言った。
ごめん、お母さん。
この嘘つき息子をお許しください。
でもお母さんには言えないんだ。
でも、平気だよ。
もうすぐ何でもなくなるから。

「そう?ならいいけど……。あ、そうだわ。今日はイヴでしょ? これで何か好きなものを買ってきなさい、少ししかないけど……」
「え? いいよ、そんな!! ほら、お母さん! もう仕事の時間だよっ!」

僕はお母さんが差し出しているお札を受け取る代わりに、時計を指差した。
お母さんは反射的に時計のほうを見た。

「あら、本当! もう行かないと、じゃあお留守番よろしくね!」

お母さんはそう言い、パタパタと行ってしまった。
僕はいつもどおり家事をし、自分の部屋へ行った。
そして、アンジェラが持ってきたあの星を見た。

「綺麗な星だよなぁ〜……」

星はツリーがないのに、キラキラと光っていた。
一瞬僕の頭にこのまま、この星を僕のものにしたらっていう考えが浮かんだ。
何考えてるんだ、僕は!!
僕はすぐにその考えをとっぱらった。
結局僕はずっと星のことを考えていた。
そして、星のことを考えていたらいつのまにか夜になっていた。
お母さんと一緒に夕食を食べているときもずっと星のことを考えていた。



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