僕たちのキラキラ


アンジェラと約束していた夜、11時になった。
僕はリュックを背負い、こっそり家を出て広場に向かった。
幸いなことに家を出るとき、お母さんはもう眠っていた。
不幸なことに家を出るとき、ラスに吠えられそうになった。
因みに星はリュックの中に入ってる。

「アンジェラ!」

アンジェラは先に広場へ来ていた。
僕はアンジェラを見つけると、アンジェラのほうに走っていた。

「おう、時間通りだな」

アンジェラは広場にある時計を見ながら言った。

「うん。さぁ、星を早く返すよ」

僕はツリーの近くに行った。
あまり、すごく近くでみたことなかったけど、このツリーなんて大きいんだ!
凄い威圧感がある。

「アンジェラは、この星をどうやって取ったの?」
「ん? のぼった。またのぼってやろうか?」

アンジェラはツリーのほうに来た。
僕はツリーのてっぺんを見た。
てっぺんは、星を呼んでいるように、僕を呼んでいるような気がした。

風が吹いた。強風が……。

その風でツリーが大きく揺れた。
僕は思わず息を呑んだ。

「ううん、大丈夫。僕がのぼるよ。その代わり僕が落ちたら助けてね?」

僕はツリーの枝を握り、のぼっていった。
アンジェラははらはらした顔で見ていた。
僕はおそるおそるツリーをのぼっていった。
僕は木登りとかをあんまりしたことがない。
だから、なんだか凄く不安定だ。

「気を付けろよ、ナイジェル!」

アンジェラが下で叫んでいる、風が吹きツリーが揺れている。
明かりもイルミネーションの明かりしかない。
僕はツリーの明かりや、飾りえを潰さないよう、そして僕自身が落ちないよう気をつけてのぼった。
ゆっくりと、そして丁寧に。

「冷たっ……!!?」

僕の顔に何か、冷たいものがあたった。

「……あ! 雪だ、雪が降ってきた!」

アンジェラが下で嬉しそうに、楽しそうにそう言ってるのが聞こえた。
僕も落ちないように、しっかりとツリーの枝を掴み空を見上げた。
確かに、そこからは白い何かが空から降ってきている。

「本当だ……」

僕は暫く雪に見とれていた。
雪が降り出す瞬間なんて初めて見た。
何か……すごく感動的だ!



どのくらい時間がたっただろうか。
慎重にのぼってたから結構、時間がたったと思う。
でも、今は時計を見てる暇なんかない。
僕は慎重にツリーをのぼり、ついにてっぺんまで来た。
僕はリュックをおろし、中から星を出した。
そして、てっぺんにさした。
この時広場は、世界はまたキラキラと光りだした。

「アンジェラ! できた! 星を返せたよ!!」

僕はツリーのてっぺんから感激の声をあげた。

「よしっ! あとは降りるだけだ、気をつけろ」

アンジェラもツリーの下から感激の声をあげた。
僕はのぼってきたとこを下りようと思い、同じ場所に足をついた。

「……え……?」

油断していた。 星を返してほっとしていた。
雪が降ったのを忘れていた。
僕の右足が下りたところは雪がつもり、思わず足を滑らせてしまった。
そして……その反動で、僕はツリーから手を離してしまった。

「ナイジェル!!」

アンジェラの慌てる声がした。次の日をつげる、鐘の音が鳴った。



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