教会にいる悪魔の話


嘘かホントか解らぬ話。

ある教会に、なぜか悪魔がおりました。
普通、教会には悪魔は入れないものなのに、その教会には悪魔がいたのです。
そして、誰もその悪魔を追い出さず、人々もその悪魔を認めていたのです。この教会にいることを。





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オーリーは今日も歩く。
白い犬の愛犬、ブランシェとともに。





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悪魔には秘密がありました。
その秘密は、皆知っていることだったのですが。
その秘密のおかげで悪魔は教会にいることができるようになったのです。
秘密の行為によって、悪魔は傷つくことは多々ありましたが、悪魔はそれでもこの教会に受け入れた人々の思いが嬉しく、我慢していたのです。





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オーリーはある国についた。
ブランシェとともに。





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ある日、悪魔のもとに一国の王様が訪ねてきました。
そして、王様はこう言ったのです。

「君は、身代わりになってくれる悪魔だろう? なら、私の代わりに死んでくれないか?」

その王様は、処刑される運命にあったのです。





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オーリーはその国で教会へと訪れる。
ブランシェとともに。





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悪魔は何も言わず、王様の頼みを受け入れました。
そして、その王様に変身したのです。
変身しても、人々の身代わりになってきた体の傷は消えません。
それでも、悪魔は人々が悪魔の自分を必要としてくれていることが嬉しかったのです。





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オーリーは教会の裏にある小さなお墓に花をお供えした。
ブランシェとともに。





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悪魔は、その王様の代わりにギロチンにかけられ、死んでしまいました。
それでも、悪魔は文句ひとつ言わなかったのです。
そして、悪魔は生命の光が消えるとき、神様に出会いました。
神様は悪魔のことをちゃんと見ていて、真っ白な翼を悪魔にくれました。





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教会にいる悪魔の話。
人々の役に立つのが、必要とされたかった悪魔の話。
そして、白い翼を貰った悪魔の話。
悪魔が死んだあと、一人の少女が、悪魔のお墓を立ててくれました。
誰も、墓はいらないと反対したのに少女だけはお墓を立てると言い放ったのです。
悪魔は、少女の自分のためにしてくれた行為を知りません。そのまえに、天の国に迎えられたのです。
ですが、悪魔のお墓は少女がいなくなった今も残されています。そして、何人かの人がお墓参りにくるのです。





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オーリーはお墓に手を合わせる。
ブランシェとともに。
天使になった悪魔に思いを馳せながら。



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