病気の盗賊の話


嘘かホントか解らぬ話。

ある町に病気の盗賊がおりました。
この町に、仕事に来たら、はやり病にかかってしまったのです。
盗賊は、苦しんでおりました。





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オーリーは今日も歩く。
白い犬の愛犬、ブランシェとともに。





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盗賊は、倒れていると小さな女の子に助けられました。
女の子は、盗賊を家に連れてかえり、看病したのでした。
盗賊には、その女の子も辛そうに思えました。





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オーリーはある町についた。
ブランシェとともに。





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女の子の看病で盗賊の病気はなおりましたが、今度は女の子が病気になってしまったのです。
盗賊は、女の子の看病をしました。女の子を助けたいと思ったのです。
仕事もやめ、女の子の病気がなおるまで、女の子の傍にいました。





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オーリーはその村で病院へと訪れる。
ブランシェとともに。





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盗賊は、勉強をしはじめました。
女の子の病気はなおったのに、勉強をはじめたのです。
そして、盗賊は決心しました。医師になり、たくさんの子を助けたいと。
女の子はそんな盗賊のお手伝いをし、2人は親子のようになりました。
お互いにとって、大切な存在になったのです。





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オーリーは病院に飾ってある写真を見る。
ブランシェとともに。





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盗賊は医師になり、病院をひらき、たくさんの子どもたちをなおしました。
そして、盗賊は町の人たちから好かれ、盗賊をやめました。
盗賊の作った病院は、だんだん大きい病院になっていきました。
その病院は、盗賊と女の子が亡くなってしまった今も、この町にあり、町の皆を支えております。





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病気の盗賊の話。
小さな優しさで、優しくなれた盗賊の話。
そして、自分の夢をかなえた盗賊の話。
盗賊が亡くなっても、人々の心から盗賊が消えることはありませんでした。
なぜなら、病院の名前が盗賊の名前でもあり、町の英雄でもあるからです。
盗賊は、天国でも女の子と2人、幸せに暮らしていけることを信じて、盗賊の像のとなりには、
必ずあの小さな女の子がいます。写真でも、何にでも。
優しさを忘れないようにと。





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オーリーは写真の前で、お辞儀をする。
ブランシェとともに。
優しい盗賊と、女の子に思いを馳せながら。



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