カノープス


次の日、僕は約束どおりポラリスにバスケを教えた。 うち、バスケットゴールがあるんだ。パパが買ってくれた。
ペテルギウスとリゲルを誘ってミニゲームをやったよ。
リゲルって、小さい割には足が速くてさ、追いつくのが大変。
それで、僕とポラリスのチームが負けたんだ。
別にポラリスがどんくさいから負けたとか、そんなことは思ってないよ。

「ベラトリックスは何をやっているの?」

休憩中、ポラリスが二人にそう聞いた。僕も二人を見た。
運動したから、汗かいちゃったな。

「相変わらずオリオンを待っているよ。ベラトリックスは、オリオンのことが好きだからね」

答えたのはペテルギウス。
あの頃、ベラトリックスの想いに気づいていたのは、ペテルギウスだけだった。
僕もポラリスも知らなかったし、気づいていなかった。
でも、僕たちも成長し、恋をして、ベラトリックスの気持ちに気づいたんだ。
そしたら、心が少しだけ痛くなった。

「早く帰って来て欲しいね」

そう言ったのは僕。 僕の言葉に皆、頷いた。



僕とポラリスが、オリオンに初めて遭ったのは、まだ僕たちが子供でいたいって思ってた頃。
確か、僕たち二人は公園のブランコに乗っていたんだ。
母さんと父さんに裏切られて、嘘をつかれて、帰りたくないって思っていた。
大人は汚い。平気で嘘をつき、子供を傷つける。そんな大人たちに幻滅していた。
オリオンは、公園のゴミ箱にゴミを捨てに来ていた。 どこかのスーパーや自動販売機で買ったのだろうか、空き缶をポイっとゴミ箱に捨てるのを僕たちは見た。
オリオンも僕たちに気づいていた。



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