現在


おばあ様が死んで、僕はこの村を出ることに決めた。

「本当に行っちゃうの?」

友達は寂しそうな顔をしていた。僕はコクンと頷いた。

「矛盾が起こる前に、色々なものを見たいんだ。色々な世界の四季や日付を巡ってみたい」

もしかしたらクリスマスのすぐ次にハロウィンを体験できるかもしれない。僕はイベントが大好きなんだ。東洋に伝わるイベントにも行ってみたいな。

「そうか……寂しくなるな」

友達は寂しそうに笑った。
おばあ様は、人は生まれながらに時間が決まっていると言った。僕とおばあ様の時間が違ったように、僕とこの友達の時間も違う。きっと、僕は何十年たってもあまり姿は変わらないだろう。
そして、おばあ様のように矛盾が起こり、崩壊してしまうんだ。でも、僕はその先が見たい。
崩壊の後の再生が見たい。きっと、おばあ様もそうだったんだ。だって、ずっとそう言ってたもの。
“世界の果て”は何もなく、寂しく全てがなくならないと見えない。
でも、何があるのかわからない。だから僕は行く。

「僕、日記を書こうと思うんだ。物語風に、どうかな?」

僕はいい考えだというように言った。

「おう! お前の気持ちを正直にかけよなっ!」
「うんっ!」

僕たちはお互いに笑いあった。まるで、それは再会を約束したように……。
おばあ様が死んで、僕の人生は変わった。村を離れ、大丈夫じゃなくなった。僕だって寂しいんだ。
だから、日記を残す。みんなの中に僕が残るように。
僕は何者なのか? その答えは矛盾の人。何故世界の果てに行こうとしているのか? それはおばあ様のためだ。





僕は今、これを思い出しながら書いている。
色々な人に会った。その人たちから僕は色々なことを学んだ。だから、思い出せたんだ。
だから僕はまだ、歩みを続ける。再生へ向かって。



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