未来


僕は旅立った。懐かしのあの村から。友達の彼とも別れた。次はいつ会えるかな? 約束したもん。きっと会えるよね?
僕はひたすら歩いている。だって、歩いたほうがいろいろなものが見えるでしょ?

「わぁ、大きな月だ」

僕は、この夜の空に何よりも大きく輝く綺麗で明るい月を発見した。今にも、地上に落ちてきそうだなと思った。
僕はこの月を見て思った。どんなとこでも、1週間は滞在しようと。その間にいろいろなところを見てまわるんだ。その中でも感動したこととかを日記に書こうと。
それで、またこの月を見て次の世界に旅立つんだ。

やっぱり1人旅はさびしいね。だから、このお月さまを道ずれにしよう。旅立つときは必ず月を見上げるよ。夜の月を。
僕はもうひとつ決めた。この日記は、もし“世界の果て”に行けたらそこに置いていこうと。そしてら、再生してわからなくなってもそこが“世界の果て”だってわかるでしょ?
誰か見つけてくれるかな? 見つけてくれるといいな。

「……おばあ様」

おばあ様も旅立つときはこんな気持ちだったのかな? きっと、1人旅が寂しくて僕を拾ったのかもしてないね。だったら、僕は幸せ者だ。いろんなことを知っているおばあ様に遭えたんだから。
そういえば、おばあ様からいろんな話を聞いた。
オルゴールの話、指輪の話。あと、なんの話を聞いたかな?
とにかくいろいろな話を聞いたんだ。僕はその話を思い出していた。

「確か、月の話もあったね」

僕は月に手をのばし、呟いた。うん。確か、あれは月の影の話だった。
うん。きっと、おばあ様はそれを見たんだね。なら、僕も探そう。
虹の先端を、月の影を、波の始まりを、空の終わりを、雨の行方を……。







あぁ、そうか。これは全部おばあ様から聞いた話だ。
虹も、月も、波も、空も、雨も……。
全部おばあ様が言っていた。だから、僕はこんなに気分がいいんだ。
全部探しだしたから。おばあ様の旅のあとを僕は知ったから。



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