狂った時間


“くりかえしの街”僕はそうよばれている街を見つけた。
そこに住んでいる人々は気づくものはおかしくなり、気付かないものはあいからずに過ごしている。
こんなに、外に、空に、大地に、歪んだ空間時計がついてるのに誰も気づかない。見ようともしない。
それは、ひたすら時間を繰り返す。そして、そのたびに時計は1つ壊れていく。もし、全部壊れてしまったら?
きっと、全部の時間を吸い取って再生するんだろうね。
もう、崩壊は始っている……。

「スミマセン、スミマセン」

僕は1人の青年に声をかけられた。その人は旅人風のかっこをしていて、犬を連れていた。

「旅の人ですよね? 僕もそうなんですが、この街は少しおかしいですね」

その人はそう言った。

「まわりの時計が見えているんですか?」

僕は不思議に思い、そう聞いた。その人は「これ?」と時計を指さした。
やっぱり。この人には見えているんだ。
その時だ。その人が指をさした時計がいきなり破裂し、他の時計たちも次々と壊れ始めた。空間もなんだかねじれたように見える。

「ついに、崩壊が……」

そう。崩壊が始まった。この崩壊で何人が再生へと行くのだろう?

「おい、あれ!! 空を見ろ!!」

旅の人は、驚いた声をだし、空を指差した。

「あれは……」

そこには、どこからか現れたかわからないが、巨大な時計があった。その時計は針をしきりに動かし、何かを吸い取っているようだった。実際、その吸い取っている光景は僕にも旅の人にも見えた。
近くにあった植物たちが枯れていった。近くにあった木が朽ちていった。
あぁ……あの時計は時間を吸い取っているんだ。
この時計はこの街だけではなく、他の時計にも現われた。この時計は、3日間そこにあり、時間を吸い続けた。3日後……そこにいたのは、僕と旅の人とその犬と……まだ時間が残っている人しかいなかった。
時間は狂った。今…いったい何時?







私は、この時計に気付かなかった。見えなかった。
いや、ほとんどの人が見えなかった。
これは、私たちとセトの見ている世界が違うから? 
いや、小さいときはきっと見えていたはずだ。私たちは何かを忘れてしまっているんだ。
私はもう一度セトと同じ世界を見たい。



 BACK|モドル|>>NEXT