魔法が使えない魔女


今日は晴れだった。
風は気持ちのいい風が吹いていた。
僕は今、魔界にいる。
今日は魔界2日目。
僕は魔女は魔法使いがいる国で、1人の女の子と出会った。
今回書くのはその子のこと。
僕とその子は出会うべきして出会ったのかも知れない。


「何で魔女なのに魔法が使えないの?」
「どーして、魔女なのに悪魔と契約してないの?」

その子はいつもそう言われていた。
魔法が使える世界で、1人だけ使えないのはすごく珍しいことだよね?

「しょーがないでしょ! 私にそんな力ないんだから!」

その子はイライラしながらそう答えていたと教えてくれた。
その子もなぜ、自分は魔法が使えないのかわからないんだ。
不思議なことで、すまされればいいんだけど、魔女なのに魔法が使えないってことは大変なことなんだ。
魔法が使えないってことは、悪魔とも契約できず、落ちこぼれの称号を与えられるんだ。
そうするになんちゃって魔女ってこと。
悪魔と契約しないで魔法を使う人たちは魔界にはいないみたいだし。



僕がその子に会ったとき、その子は湖の近くにいた。
魔女のホウキを持って。

「ねぇ! ちょっと聞きたいんだけど、ここって魔女の国だよね?」

僕はその子にそう話しかけた。
その子は僕がいつからいたのか、どこから来たのか聞こうと思ったらしい。
急に現れたから。
まぁ、それは後から聞いた話なんだけどね。

「……そうよ、貴方は誰?」

その子は奇妙そうに僕のことを見ていた。
でも、僕はにこにこ笑うだけ。

「僕はセト。世界の果てを目指して旅をしてるんだ。君は?」

その子は僕の名前を知りたいんじゃなかったのかもしれない。
そして、その子は僕みたいな奇妙な奴に名前を聞かれたくなかったのかもしれない。
それでも、僕はにこにこ笑うだけ。

「……スピカ」

その子はボソっとそう言った。
僕はその子とうちとけようと思って、マシンガントークをしてみた。
初めのうちは警戒してたみたいだけど、仲良くなれた。

「私も魔法を使える力があるはずなんだけど……。ホウキで空飛べるし。一度だけ悪魔を呼び出したこともあるのよ? でも、契約断ったら、空飛ぶ以外できなくなっちゃって……」

スピカは自分のことを話してくれた。
そのお礼に僕も色んなことを話した。
女の子と話したこと、あんまりないから何かテレちゃうなぁ。



僕とスピカは色々なことを話した。
それは、たくさんのことを話した。

「あら? 黒猫だわ」

話していると、スピカの足に1匹の黒猫が擦り寄ってきた。
やけににゃーにゃー鳴いてる。
猫ってこんなに鳴いたって?
暫く、その黒猫を見ていると何だか世界がまわるような奇妙な感覚に襲われた。

「きゃっつ!!?」
「うわっ!!!?」

そう、気づいた時僕たちはまっさかさまに落ちていた。
何があったかって?
それはね、猫を見てたら急に地割れが起きて、そこに落ちたんだ!

「はっはっは!! ざまー見ろ! 俺とも契約断るからそんなことになるんだ!」

上……つまり、さっきまで僕らがいた位置から声が聞こえた。
そこには、さっきの黒猫が2本足で立って高笑いしていた。
そして、段々と褐色の肌で、蝙蝠の羽のようなものを持ってる少年に変わっていった。
手には黒いヤリみたいのものを持っていた。
そして、いつのまにかその少年はいなくなっていた。

「あれは……あの黒猫は、あの時の悪魔だったのね。どうしよう、落ちたときにホウキも折れちゃったし……」

スピカは沈んでいた。
まるで、不味いソフトクリームを食べたみたいに。
手には折れたホウキを握りしてめいた。

「魔法は?」

僕はスピカに問うた。
スピカは首を横に振ったが……。

「やってみる。ホウキを直すくらいならできるかも」

スピカはそう言い、両手をホウキのほうに翳した。
そして、呪文のようなものを唱え始めたが、何も起こらなかった。
起こったことがあるとしたら、流れるような水の音が聞こえるようになったことだ。

「水の音?」

スピカが不思議そうに言った。
ここは、湖の近くだ。
しかも地下……と、いうことは湖がこっちに流れ込んでこようとしてる!?
僕はそれをスピカに話した、スピカはすっごく慌てていた。

「直れ! 直れ!!」

スピカは必死でホウキを直そうとしていた。
だが、間に合わず水はついに壁をぶち破ってきた。

「直れ!!!」

気がつくと、僕らは地面の上……つまり、さっきまでいた位置に戻っていた。
隣には直ったホウキを抱えているスピカがいた。
僕はスピカのホウキで飛んだのを覚えている。
スピカが最後の呪文を言い終わったあとに、あたりが光ったのも覚えてる。
僕はスピカにお礼をいい、次の国に行った。
そっか、スピカが自信がなかったのかもしれない。
自信がなければ、使えるものも使えない。
自信は、大切だと僕はあらためてしった。







これは、セトが日記を書くようになってから3回目に残したものである。
私はセトみたいに魔界には行けないので、これが本当のことかはわからない。
だが、これは本当のことなのだ。
この日記には「スピカ」という魔法が使えない魔女が出てくる。
私は彼女に会うことは出来ない。
セトは、ここで自信について述べている。 もしかしたらセトは自信がなかったのかもしれない。
もし、これを「スピカ」が読んでいたら私のところに来て欲しい。
何があったのか知りたいのだ。



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