12月25日


ちらちらと、雪が降るとそれは近くなる。(雪の降らないとこもあるだろうけど)
僕が行ったとこは、全部雪が降ってたんだ。
今回はあそこに行く。あのサンタクロースが住んでいる所に行くんだ。
何でこの日に行くって? だって、今日はクリスマスじゃないか。
サンタクロースの顔を見たいじゃないか。もう、そのサンタがいるところに来てるんだけどね。


サンタが住むところは、凄くキラキラしていて、雪がたくさんあるけど冷たい雪って感じはしないんだ。
特に今日はプレゼントの配達も終わり、お祭りのような騒ぎのはず。多分だけどね。

「あー! 知らない人がいる。メリークリスマス!」

車掌さんのようなカッコをした男の子が僕を見てそう言った。
ん? この子の体にその上着と帽子は大きいんじゃないかなぁ?

「僕はセト。世界の果てを目指して旅をしてるんだ」

僕はいつも通り、にこにこと笑いながら言った。

「僕はノエル。でも、車掌って呼んでっ! サンタに会いに来たの? ここに来れるって凄いね?」

その子も笑いながらいい、そして僕に興味津々だった。

「ノエル、どーしたのー?」

どっかから違う男の子が走ってきた。

「あ、マーチ。この人サンタに会いにきたんだって、わざわざ遠いところから」
「え? そうなのー? どうしよう、僕たちだけで決めて良いのかなぁ。エルやサフィーに聞いてみたほうがいい?」
「いや、それよりミチルとジェイクの方がいいんじゃないかなぁ」

2人はしばらく、こそこそと話していた。まぁ、僕にもまる聞こえなんだけどね。
話し終わると、僕の方を向いた。

「えーと、僕たちじゃわからないから、こっちに来て」

そう言ったのはマーチ。
僕はマーチの後についていき、モニターがたくさんある部屋に来た。
そのモニターの前に1人の少年が座っている。
思ったほどお祭り騒ぎじゃないんだなぁ。グラニュー糖だと思ったら黒砂糖だったって感じだ。

「エル! この子サンタに会いたいんだって」

マーチはその少年に声をかけた。
今気づいたんだけど、この子たちは皆帽子を被ってるんだなぁ。耳も尖がってるみたいだし。
エルと呼ばれた子は、僕たちの方を向いた。
モニターにはたくさんの子供たちが映っている。

「サンタに? クリスマスだし別にいいんじゃないか?」

エルは他の子たちより、少しカッコよかった。他の子たちは可愛いっていうのかなぁ?


そんなわけで、僕はサンタに会うことが出来た。サンタは思ったより若かった。
それに、1人人間みたいな男の子もいた。もう1人一緒にいる子がいたけど、その子は妖精かな?

「メリークリスマス! 俺はサンタだよー。プレゼント運びで疲れちゃった」

サンタはのほほんとココアを飲みながら言った。

「何言ってるのさ? 疲れたのはこっちだよ。もう、何度落ちそうになったことか……」

そう愚痴を零したのは、サンタの隣に居た金髪の妖精の子。あ、因みにサンタは銀髪だった。

「何だよ、ミチルー。落ちなかったんだがら、文句言うなよー」

「そーゆう問題じゃない! また記憶なくして行方不明になったらどーするの! って言ってるの!」

あ、行方不明になったんだ。話しを聞くかぎりでは、サンタはドジっ子なのかなぁ?

「2人もー、お客様の前で失礼だよー」

茶髪の男の子が言った。この子が人間の子だ。

「だって、ジェイクー!あ、そんなことより君にプレゼントあげたっけ?」

サンタが急に僕の方にいきよいよく向いた。綺麗な鈴の音が聞こえたような気がした。

「僕は世界の果てを目指して旅をしているから、ひとっところには留まらないんだ。だから、貰ってないよ」

僕はにこにこ笑いながらそう言った。
3人を見てみると、凄く壮絶そうな顔をしてるけど、何かあったのかなぁ?

「何と! まだ貰ってない、いい子がいるとは!! よし、これをあげよう。奇跡のおすそ分けだよ」

サンタはそう言い、僕に小さな雪ダルマの置物をくれた。
プレゼントがほしくてここまで来たわけじゃないんだけどな……。

「ありがとう! メリークリスマス!」

僕はそう笑った。この置物は大切にしよう。
今回の旅はいいことありそうだ。







随分季節はずれな話だろうと、皆思ったはずだ。
だが、セトの日記はこうなっていた。 セトが何故このように季節はずれの日記を今になって書いたのか、私は不思議でならない。



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