雫と虹


町は、どこか西洋の雰囲気。家とか、町並みとか揃っていて、凄く綺麗で。
石で出来ているみたいなんだけど、高さも揃っていて。

「凄く素敵な町」

レイニィがそう言って笑った。何だか、観光に来た気分。次はぜひ、兄さんとも一緒に来たい。

「時間の国は建物とかの規制があるのだよ。町の景観を崩さないために。それにほら、ゴミ一つ落ちていないだろう? ここでは、ゴミを落とすことは犯罪なのだよ」
ユピテル王子は、羨ましそうに言った。僕は今まで、森に住んでいたからたくさんのことはわからないけど、これだけはわかる。
この国はものすごく整った国なんだ。まっすぐ行った所に見える城も、白くてとても整った綺麗な城で、景観にもあっていた。
きっと、国の人が自分の住んでいる国を大切にしているんだね。それは、すごくいい心がけだと思う。
そう考えながら、ユピテル王子から話を聞きながら僕たちは並木道を通り、城を目指した。城には時計がついているみたい。

「見て! 川が流れてるよ!」

大きな橋を渡っているとき、ミンディが下を見ながら言った。
結構、大きい川だと思う。でも、どうしてこの橋は川に対して真っすぐにかかってないんだろう? ななめに橋がかかっている。
「時間の国の町並みは、城を中心に八本の道が延びているのだ。だから、この橋も川に対して垂直じゃないのだよ」

ユピテル王子は、何か本みたいなものを見ながら言った。あの本は、ガイドブックみたいなものなのか
でも、こうやって国について、色々なことが知れると楽しくなるよね。他の国のことも、もっと色々知っておけばよかったなぁ。
なんか、おかしいや。聖霊様に言われるまで森を出なかったこの僕が、そんなことを考えるなんて。僕が、また行きたいなんて思ってるなんて。
「見て! あそこに素敵なカフェがあるよ!」

橋を渡り終え、大きな道に出たとき、レイニィが可愛い看板がかかった可愛いお店を見つけた。
でもカフェには入らず僕たちは、その可愛いカフェを通り越した。レイニィは少し残念そうにしていたけど。
カナロア姫は、時間の国が大変なことになってるって言っていたけど、そんなに大変なことになってるとは思えない。
だって全然そんな風には見えない。だけど、キョロキョロとあたりを見渡してい時、ある物が目に入った。僕は、思わずぎょっとした。

「ミンディ、あれ……」

僕は、ミンディに教えた。一人でそれを見てしまうには、あまりにも怖かったからだ。
ミンディも、僕と同じ反応をした。だって、教会の壁に、まるで血のような赤い文字で、何か書いてあるんだもの。
森の字とは違うから、何が書いてあるのかはわからなかったけど、これだけはわかった。誰かの悪口が書いてあるんだって。
よく周りを見渡すと、その文字はあちらこちらに書いてあり、あそこに置いてあるベンチにも書いてあった。

「何かの落書き? でも、落書きにしては、やりすぎなような……」

レイニィがその文字を冷静に観察した。僕なんか怖くてミンディの後に隠れてるっていうのに。

「何て書いてあるのかわかる?」

レイニィは振り返り、ユピテル王子に問うた。< BR>ユピテル王子は一番近くの(あのベンチ)落書きの所に行き、その文字を見た。

「うーん、意味はよくわからないが、クロノス王子を罵る言葉だ。ほら、ここがクロノスってなっているだろう? もしかしたら、 クロノス王子は泥棒のような扱いを受けたのかもしれない。それとも、国を乱す原因だとされたか……。とにかく、城に急ごう」

ユピテル王子は城を見据えた。

城が近づいてくると、赤い文字を数多く見るようになった。文字以外にも、首をつっている男の人の絵とか、そんなものもあった。
カナロア姫が時間の国は大変なことになってるって言ってたけど、このことだったのかな? こういうのを治安が悪いっていうのかな?
城が目の前までくると、城門の前に、ものすごい人の数が集まっていた。何か、プラカードを持ち、叫んでいる。
あれじゃあ、人っ子一人入れない。あの人たちは何しているんだろう?

「あれは、デモだね。彼らはクロノス王子に城の中から出てきてほしいみたいだよ」

ユピテル王子がその大勢の人たちを見て言った。< BR>デモっていうと、あれだよね。あの反対運動とかで、よく行進とかするやつ。
彼らにとって、雨が降らなくなった原因はクロノス王子なのかもしれない。そういえば、川の水もずいぶんと少なくなっていた気がする。
きっと、クロノス王子はものすごく、今印象が悪いんだ。

「でも、これじゃあ城に入れないね」

レイニィが呆れかえったように、大勢の人たちを見ていた。

「もしかしたら、裏が開いているかもしれない。裏に回ってみよう。聞いた話だと、裏にも入口があるはずだ」

ユピテル王子は、城壁にそって右に向かって歩き出した。僕たちも、ユピテル王子の後を追った。城に入るだけなのに、ずいぶんと苦労するなぁ。
あ、あそこで火のカケラを使えばよかったのかな? いや、でもまだ使いどきじゃない気がする。だって裏から入れるかもだし。



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