大空のむこう


「いやー助かったよ。俺、コンタクトないと何にも見えなくてさ。俺はセイってんだ。宜しくな!」

セイと名乗った南国少年は、まだ整理されていない自分のトランクの上に座った。
きっと片付けとか苦手なタイプだね。

「俺はクウ! こっちはサンだ」

俺は床にストンと座った。サンはカッコつけて、壁に寄りかかっている。
部屋の中は、荷物がちらかってる以外は綺麗だった。
大きな窓に、シングルベッドが3つ。それに、椅子と机、クローゼットも3つ。大きなTVもあった。
まるでホテルみたいだ!
こんなところ初めてだ!
何だか凄くワクワクしてきたぞ!
あらためて俺は思う。ホワイト・ブルーに入ってよかったと。

「セイは何でここに入ったんだ?」

サンもついに自分の荷物の上に座り、セイに問うた。
それにしても、セイはいつ上着を着るんだろう?
寒くないのかな?

「俺? “空の果て”に決まってんだろ! お前たちもか?」

セイは楽しそうに笑った。
なーんだ、皆一緒か〜。

「おう!」
「あぁ」

俺とサンもその問いに楽しそうに返した。
それからは、あれだ。
セイがしきって、このベッドは誰のでー、ここが誰のテリトリーでーと勝手に決めていった。
2人とも荷物多いなぁ。俺が少ないのかな?
まぁ、2人ともまだ荷物整理してるのに、俺だけすっごく早く終わったのは切なかった。

「俺、ちょっと出かけてくるねー」

俺はそう2人に言い部屋を出た。
2人は軽く手を振った。
これでやっと先生に会えるんだ!!



BACK|モドル|>>NEXT