大空のむこう


その女の人は、長い金髪に空のような青い綺麗な目。
そして、その人自体とても綺麗な人で、俺は……いや、俺たちはしばらく見惚れてしまっていた。

「そこの貴方! 早くそこから降りなさい!!」

女の人は俺に向かってそう言った。女の人の後ろに帽子を深くかぶった男の子がいる。

「どうやって降りるかわからないんです!!」

俺はこれは偶然です、わざとじゃありませんって感じで必死に言った。
だって、そうだろ? 浮いたのは俺のせいじゃない。

「飛び降りるのよ。魔法陣の外にね」

俺は女の人が言ったように、飛び降りた。
ガクンと階段を踏み外すというか、エレベーターが急に下がったって感じになり、気がついたら俺の足は床の上に立っていた。

「クウ!!」

セイとサンが俺の方に駆け寄ってきた。
あ、間違えた。サンは駆け寄ってない。

「す、すみません!俺たち……まだ、学園に慣れてなくて、気づいたらここに……。どうやら、迷ってしまったみたいなんです」

サンは申し訳なさそうな顔で、女の人にそう言った。
あれ? サン、いつものキャラ違くない? それに、俺たちは勝手にここに来たんだと思うけどなぁ〜。

「あら、じゃあ1年生なのね? それじゃあ、しょうがないわ。私はセス、ここの4年生よ。こっちの子はスク、訳あって私が預かっているの。貴方たちは?」

女の人……セスさんから怒ってる感じはなくなり、笑って言った。
美人な人は笑っても美人だ。にしても、スクって子は全然しゃべらないね?

「俺はクウ! こっちに2人がサンとセイだ……です」

もう! 俺ってば!! 相手は目上の人なのに!!
ちょっと、セイに睨まれた感じがしたけど、セスさんと話したかったのかな?

「タメ口で良いわ、気にしないで。こっちよ」

セスさんは、そういい俺たちを寮まで案内してくれた。
まぁ、案内されなくても実は寮までの道知ってるんだけどね……。迷ってたわけじゃないし、でもそれ言うと怒られそうだから、やめておこう。
にしても、サンのあの変わりようはいったい何だったんだろう? そのお陰で俺たちは怒られずにすんだんだけどさ。

「あの部屋のことは、誰にも言わないでね。それと、もう迷わないように気をつけなさい」

セスさんは、そう言いスクを連れて帰っていった。俺たち3人は見えなくなるまでセスさんを見送った。

「あの部屋って……“空の果て”に関係あるのかなぁ?」

俺はふと、疑問に思い呟くように声に出した。

「確かに、内緒っていうのがおかしいよな?」

サンもセイも頭を抱えた。
謎が1つ、また出てきたぞ。



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