大空のむこう


さて! 待ちに待った授業が始まった! さっそくコウ先生の飛行学だ!
俺たちは飛行場のような広いグランドのところにいた。そこには、1台の旧型の飛行機が置いてあった。きっと、この飛行機で空を飛ぶんだ!

「先生、まだかなー」

俺はソワソワしていた。いや、皆がソワソワしていた。いや、ソワソワというよりはワクワクだ。

「まだ鐘なってないだろう」

サンが冷静に言った。いや、サンですら冷静じゃなかった。そう、サンですらワクワクしてたんだ。皆きっと楽しみなんだね!
数秒たって鐘が鳴った。
コウ先生は少し遅れて来た。

「やぁ、ごめんごめん。ちょっと寝過ごしてね」

コウ先生はそう言いながら爽やかに現れた。

「私はコウ。主に飛行学などを教えている。具体的にいうと、飛行機の操縦や直したかだ。このなかに飛行機を操縦できる人はいるかい?」

コウ先生は俺たち生徒を見渡した。手を挙げたのは俺だけだった。
コウ先生はにっこり笑った。

「じゃあ、飛行機を作ったり直せる人は?」

また手を挙げたのは俺だけだった。

「何で、お前そんなに何でもできるんだよ?」

そう俺に聞いたのはセイだ。何でも出来るってわけじゃないんだけどなぁ。

「ん〜……俺、小さいときにコウ先生と会ったことがあるんだ。そのときに色々教えてもらったんだよ。先生はさ、俺の父さんと知り合いだったし」
「ふーん、俺実技は得意じゃねぇなぁー」

サンが少し悔しそうに言った。

「さて、この飛行機は3人乗りだ。クウと、隣の2人。前に出てきてもらえるかな?」

コウ先生は俺たち3人を見て言った。俺たちは互いに顔を見合わせたが、先生に言われたとおり前に出た。

「じゃあ、3人は飛行機に乗って。操縦はクウ。君があれからどこまで出来るようになったか見せてもらうよ」

コウ先生はにっこり笑った。俺たちは、言われたとおりに飛行機に乗り込んだ。皆がハラハラしながら見ているのが解る。
俺はエンジンをかけた。見事、かかった。

「クウ、上昇したらそのまま学校一周してここに戻っておいで」

コウ先生はエンジン音に負けないように言った。俺は先生を見て、コクっと頷いた。
飛行機を操縦するのは久しぶりだ。何だかワクワクしてきたぞ!
飛行機は少し走り、ゆっくりと空に向かって上昇した。下で歓声が聞こえた。
俺は先生に言われたとおりに学校を一周した。そして、戻ってくるときに何かがおきた。

「うわっ!? 何だこれ!!?」

暫く飛んでいるとセイが変な声を出した。

「どわっ!? おい、クウ! どうなってんだ!?」

今度はサンだ。どうなってるのかと聞かれても俺は操縦に集中してたから何が起こっているのかわからない。だけど……。

「どっひゃー!!? 何かぬるぬるしたものが頭にっ!?!」

そう、ぬるぬるしたものが頭に降って来た。

「魚だよ! 見たことの無い魚が空から降って来た!!」

セイが驚いた声を出した。いや、誰だって驚くさ。
取りあえず早く先生に報告しよう! 俺は急いで飛行機を先生のもとに向かわせた。



BACK|モドル|>>NEXT