大空のむこう
俺は悩んでいた。
島のはずれの船着場……ここは、その船着場っていうのが2つしかないのか、って悩んでいた。うん。俺も思うよ。ずいぶんくだらない悩みだって。そんなの悩まないで、人に聞けばいいのにって。だから、俺はいつまでたっても方向音痴なんだよ。
「コウ先生!」
俺は思わず先を歩いていたコウ先生に声をかけた。コウ先生はふりかえった。
「何だい?」
「あの、島のはずれの船着場って……」
俺がそこまでいうとコウ先生は俺の言いたいことがわかったのか、にっこり笑った。
「島のはずれの船着場っていう名前のところなんだよ。その名前の船着場は2つあってね。もちろん、船着場は他にもあるよ」
なるほど。名前なんだ。でも、何で一緒の名前の船着場が2つあるんだろう? なんていうか、ややこしいなぁ。現地の人たちはなんて言いわけてるんだろう?
どうやらサンたちも同じことを思っていたらしく、やれやれといった顔をしていた。
そんなわけで、俺たちはジジイのもとにむかったが、ジジイのとこまでは少し距離があるらしく、俺たちはファミレスみたいなとこで昼食にすることにした。今の腹のすき具合から……11時くらいかな?
席はちょうどあいていたが、人数が多いため、2つの席を占領した。因みにメンバーは子供組と大人組+スクだ。スクってば、いつもセスさんと一緒で少し羨ましいけど、あの2人ってどーゆう関係なんだろ?
「なぁなぁ、ここだけの話。スクってあやしいと思わねぇ?」
リンが大人組に聞こえないよう言った。横目でチラっと見たが大人組は何かを話していた。
「髪も目も王家と一緒。それにさっきのセス姉さんの感じ、あの2人はきっと何かあるぜ」
リンはそう言うと面白そうににんまりと笑った。うん。確かにあの2人は何かを怪しい気がする。
「何でそう思ったんだ?」
サンがそう言い、俺たちは大人組にこの内容が聞こえないように小声で話した。
「まだ核心じゃないけどね、王家の子ってのがスクじゃないかと俺は思う」
「うん。その考えを否定するものは何もないね」
肯定できる証拠もすくないけど、否定はできない。俺はそう思い、頷いた。それにありえない話でもない。
でも、スクが王家の子ならセスさんはいったい? でも、セスさんと多分コウ先生は何かを知っているんだ。コウ先生はスクに帽子をかぶらせたし。レンさんは何か知ってるのかな? 後で聞いてみよう。
「俺はバレないように、スクを観察できる。海賊だからな」
リンはエヘンと威張っていたが、海賊っていうのは関係ないような気がする。でも、俺たち3人の誰かじゃバレそうだったので、それはリンに任せた。
そう、俺たちが頼んでいるとコウ先生が頼んだ料理が運ばれてきた。それを見たら腹がぐーとなり、自然とこの話は終わりになった。
メニューは何だかよくわからないけど、空名物のもので、見た目は変わっていたが、味はカレーとクロワッサンに似ていると思ったのは俺だけだろうか。
久しぶりに母さんの手料理を食べたくなり、ホームシックになったがそれはすぐに治った。
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