大空のむこう


さて、昼食を食べ終わると俺たちはスクを観察しながらジジイのところに行った。ジジイのところは近くなく3時間くらいかかった。
のちに「何かに乗ればよかったなぁ。それかレンタルか……」とコウ先生が呟いていたのを聞いた。
そんなわけで、そこには俺たちがここに来たときと同じような船着場があり、たくさんの空船があった。その大きい船を見て、自分からスクを観察するといったリンはそんなことをすっかり忘れ、子供みたいにはしゃいでいた。
さて、そんなリンはどうでもよくて、そのジジイとやを探そう。俺はキョロキョロとまわりを見たが、俺の見る限りではジジイなんてどこにもいない。

「コウ先生ー」

俺はコウ先生の傍に行った。もちろんコウ先生は俺のいいたいことがわかっていた。

「そうだねー。いないみたいだねー」

コウ先生は笑いながら言った。笑いごとじゃないと思うけど。

「もしかして、あの人? 白髪の」

レンさんがコウ先生の隣にきて、空の海に向かってラジオ体操をしている男の人を指さして言った。半裸の男だ。元気だな。セイのように色が黒い。そんなセイが親近感でもわいたのか、その人のところに行った。

「あなたが船着場のジジイですか?」

その人は、セイの方を見た。確かに船のところにいる人たちよりは年をとっているようだが、まだジジイという年じゃないと思う。

「スイに聞いたのかね? あいつ、またわしのことをジジイと呼びよって。わしはまだ若いぞ?」
「はぁ……見ればわかります」

ジジイのハイテンションにいつもテンションの高いセイもおされぎみ。

「へー、ジジイ年いくつなの?」

はしゃいでいたリンがいつのまにか来ていた。ジジイは、リンの小ささに笑った。

「わしはまだ60だ。そーゆーお前は、9つくらいかえ?」

ジジイ、子供にやるようにリンの頭をなでた。リン、ショックでムンク状態。セイは笑いをこらえてる。

「俺はもう15だ!! もう子供じゃねぇ!!」

うん。あれは怒ってもいいと思う。それでジジイが信じられない顔をしたのがリンには腹が立つんだろう。
ずいぶんと時間はかかったが、俺たちはジジイの家に招き入れられた。



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